自治体は、住民に対して様々な行政サービスを提供しています。
その中でも検診・健診制度は、地域住民の健康増進と病気の早期発見・治療のためにおこなわれる重要な取り組みです。
この記事では、似た言葉であっても実際には大きく意味が異なる検診と健診の違いや種類について説明します。
また、自治体が検診・健診に関して抱える課題や促進する際のポイント、各自治体の取り組み事例などをご紹介します。検診・健診のプロモーション方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
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日本の検診・健診制度は大きく以下の2つに分類されます。
このうち、自治体で実施している検診と健診はどちらも “けん診” と呼びますが、両者には大きな違いがあります。ここでは検診と健診の違いと特徴について、詳しく説明します。
検診とは、特定の病気を発見する目的で実施する検査のことです。健康異常を早期に発見して、早期治療や重症化を防ぐためにおこなわれます。
代表例な検診としてがん検診があります。これは健康な方の体内でがんが発生しているかどうかに特化した検査です。
健診とは、健康診断の略称です。健診の目的は、全身の健康状態をチェックし健康であるかどうかを確かめることです。
病気の危険因子の有無を確認する行為であり、検診と違って特定の病気を発見する検査ではありません。あくまでも、健康の維持や疾患の予防に役立てるものです。
自治体が実施している検診と健診の種類としては、以下のようなものがあります。
39歳以下健康診査は、普段健康診査を受ける機会がない方を対象として、主に以下を予防するためにおこなわれる検査です。
各市町村で検査内容は異なりますが、主に以下のような項目です。
また、医師が必要と認めた場合には、以下の検査が実施される場合もあります。
学校や職場などで健康診断を受ける機会がない方に推奨される検査です。
後期高齢者健康診査とは、75歳以上の方および65歳以上で一定の障害がある方が受診できる検査です。後期高齢者健康診査の項目は、以下のとおりです。
後期高齢者健康診査は、病気の早期発見だけでなく、生活習慣の改善につなげる目的で実施しています。
がん検診とは、がんの疑いの有無を調べる検査です。「がんの疑いあり(要精検)」と診断された場合は精密検査を受けます。国が推奨するがん検診は以下の5種類(※1)です。
がん検診には、主に集団全体の死亡率減少を目的として実施される対策型検診と、個人が自分の死亡リスクを下げるために受ける任意型検診の2種類があります。自治体が提供するがん検診は対策型検診としておこなわれ、検診費用の多くを公費で負担しているため比較的安価で受けられるのが特徴です。
※1)厚生労働省 がん検診
結核検診とは、結核の感染や発症を調べるための健診です。結核検診では、注射48時間後の発赤(接種した部位が赤くなる)の大きさなどを調べるツベルクリン反応検査や血液検査によって、結核菌への感染の有無を判定します。
もし、感染していることが判明した場合、発病してるかどうかを胸部X線検査で調べます。異常がある場合におこなわれるのが、たんを採って結核菌の有無を顕微鏡で調べる「かく痰検査」です。この検査で結核菌が検出された場合に、結核と診断が下されます。
特定健康診査とは、40歳から74歳の方を対象に、主に生活習慣病の予防を目的としておこなわれる検査です。主にメタボリックシンドロームに着目した健診です。メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさった状態を指します。
特定健康診査の基本的な検査項目は、以下のとおりです。
特定健康診査の結果、生活習慣病の発症リスクが高いと診断された方に対しては、専門スタッフが生活習慣を見直すサポートをします。
自治体は地域住民の健康管理を支援し、地域全体の健康水準の向上を図る目的で、検診・健診受診を実施しています。ここでは、自治体が検診・健診に関して抱える3つの課題についてみていきましょう。
各自治体では、検診・健診の機会を提供するだけでなく、さまざまな健康増進活動に取り組んでいます。ただし、その内容が住民に対して十分に伝わっていないケースが多い点が課題です。
検診・健診に対する取り組み自体が認知されていても、実際に利用する方が少ないという悩みを抱えている自治体も多く見られます。利用者が増加しない主な理由として、予約の手間や費用面のハードルが高い点などが考えられます。
検診・健診の利用を後押しするようなきっかけ作りをできるかが、重要なポイントです。
健康増進事業を展開しているものの、事例が少ないことおよび知見がある職員が少ないため、どのように事業を進めてよいかで悩んでいる自治体が多く見られます。専任の担当を置くなどして、ノウハウを培う必要があります。
自治体が実施する検診・健診は、住民に周知し受診率の向上を図ることが重要です。検診・健診の受診を促進するためのポイントとして、以下の2つが挙げられます。
厚生労働省の資料によると、未受診者の多くが、健診の存在を把握していたにも関わらず「仕事や家事が忙しい」などの理由で受診していません(※2)。したがって、さまざまなプロモーションを実践することにより、利用率を向上させることが重要です。
※2:厚生労働省 特定健診未受診者へのアンケート調査からみた未受診の要因と対策
検診・健診を利用するハードルを下げることも、利用促進に大きくつながります。最もハードルが高く感じるポイントとして、検診・健診にかかる費用が挙げられます。
そこで、検診・健診の費用を低く設定する、もしくは無料とするなどの方法が有効です。ほかにも、健康増進アプリを提供して、登録時に特典を付けるなどの対応によりハードルを下げる方法が考えられます。
検診・健診に対して、各自治体がさまざまな取り組みをおこない、住民の健康の増進につなげています。ここでは、5つの自治体の取り組み事例についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
長野県松本市では、「スマイルライフ松本 21」と呼ばれる計画を策定して、健康作りの促進を図っています。各町会から推薦された 松本市健康づくり推進員が、全35地区において通年で健診やがん検診等の受診啓発活動をおこないました。
また、エリア別研修会、各地区での各種研修会を開催して、研修会の内容を家族や地域へ伝える活動を展開しています。
広島県呉市では、「第3次健康くれ21」という名称で、健康作りを推進する活動をおこなっています。市民が生涯にわたり健やかで心豊かに生活できる健康都市を目指し、がん検診をより受けやすくするために個別検診を充実させました。
また、女性総合健診では、骨粗しょう症及び予備軍の早期発見・予防のため、対象者に骨密度測定を実施しています。
新潟県妙高市では、データヘルス計画に沿って検診・健診の受診率向上を目指し、休日健診や予約健診・集団検診を実施しています。
また、定期的な健診受診の啓発及び若い世代からの健診受診の習慣化を図るため、特定健診や重症化予防保健指導の周知をおこなっています。
和歌山県日高川町では、健康づくり推進員を町長が委嘱し、健診やがん検診の受診
勧奨等をおこなっており、がん検診受診率が高いのが特徴です。
集団健診としては、6月から8月にかけて特定健診とがん検診をセットで実施して、受診率の向上を図っています。個別健診では、子宮がん・乳がん検診は4月から、特定健診や胃がん・大腸がん・肺がん検診は集団健診終了後の9月から実施するなど工夫がなされています。
京都府では、がん健診を利用するためのハードルを下げる目的で、働き世代に向けたがん検診啓発マンガを作成しました。このマンガは「40歳、はじめてのがん検診」をテーマとして、がん検診の受診デビューを応援する内容です。
ほかにも、乳がん検診に関するマンガも作成しており、がん検診に対する啓蒙を図っています。
各地自体で検診・健診を促進するためには、目的や実施日などをきちんと周知することが重要です。そこで、プロモーションをいかに効果的におこなえるかが鍵となります。
検診・健診に関する各地自体のプロモーション手法としては、主に以下のような方法があります。
広報誌は、自治体がおこなっている各種施策の情報を提供するための紙媒体です。自治体は、広報誌を通じて正確かつ適切な情報を住民に伝える必要があります。
広報誌で検診・健診スケジュールの周知や啓発を図ることで、受診率の向上が期待できます。
自治体の広報において、SNSは非常に重要な存在です。特にX(Twitter)は、リアルタイムに情報を発信できるため、利便性の高いプロモーション手法です。
検診・健診のスケジュールを紹介したり、健診結果を送付したりする手段として、SNSを活用しましょう。
各自治体で配信しているメールマガジンで、検診・健診に関する情報を紹介する方法も有効です。個々のメールアドレスにダイレクトに送信でき、速報性が高い点がメリットです。
また、自治体によっては携帯電話の電話番号を用いて、ショートメールを未受診者に対して個別に送信し、受診を促しているケースもあります。
Webサイトには、広報誌と違って住民だけでなく、全国各地からアクセスして情報を入手できるメリットがあります。検診・健診のスケジュールだけでなく、健康促進事業に対する情報発信の場としても、活用されています。
テレビやラジオではなく、自治体が動画配信で広報活動をおこなうケースも近年増加しました。検診・健診を受けたことがない方に対してハードルを下げるために、検診・健診の風景などを動画で紹介して、受診の大切さを呼びかけています。
メディアに向けて情報を発信し、その結果ニュースの掲載や報道につながることをパブリシティの獲得といいます。自治体が積極的に検診・健診に関する情報を発信してパブリシティを獲得できれば、検診・健診への住民の理解が深まります。すなわち、検診・健診の受診率の向上につながる効果的なプロモーションとなりうるでしょう。
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また、「まちあげ」には配信結果を分析する機能が実装されており、自治体が求めるデータをレポート形式でまとめることができます。費用対効果を可視化することで、今後のプロモーションに活かすことが可能です。
「けん診でまちあげ」では、⾃⾝の健康状態や特定の病気について関⼼のある層へ、健康促進関連の情報を届けることが可能です。属性だけでなく、以下のような関心別ターゲットを選定できるのが特徴です。
自身の健康状態や特定の病気について関心のある層に、健康促進関連の情報を届けることができます。
「けん診でまちあげ」を検診・健診のプロモーションに活用するメリットとして、手軽かつ効果的にプロモーションできる点が挙げられます。
具体的には、大規模ポータルから小規模なブログサイトまで、圧倒的なリーチ数で幅広い配信が可能です。
ほかにも、多くのデータを用いてプロモーションを展開できるメリットもあります。
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住民の健康促進を図る上で、検診・健診の受診率を上げて早期に病気を発見するだけでなく、病気を未然に予防することが重要です。また、同時に健康促進に関する啓発活動を展開する必要があります。
今回紹介したように、検診・健診の機会を提供するだけでなく、活動内容の効果的なプロモーションが重要です。
そのためにも、けん診に関して特化したマーケティングプロダクト「けん診でまちあげ」をぜひご活用ください。