関西地方では各自治体が2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、観光プロモーションに力を入れています。全国への誘客促進ならびに訪日外国人の誘客を図る取り組みが急務です。
本記事では、関西地方の観光需要の現状と課題に加えて、関西地方の広域連携DMO「関西観光本部」の取り組み内容や各府県の観光プロモーション事例を解説します。
観光プロモーションを成功に導くには、ターゲット層への効果的なプロモーションが不可欠です。記事の後半では、自治体の観光プロモ―ションに適した広告配信プラットフォーム「まちあげ」をご紹介しますので、最後までご覧ください。
関西地方とは、一般的に大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県の2府4県を指します。 歴史や伝統文化が感じられる京都や食い倒れの街大阪など国内外に人気の都市のほか、郊外には豊かな自然に恵まれた地域を有します。
関西地方では、2025年に開催される大阪・関西万博に向けて国内外の誘客を図る取り組みが急務です。
観光庁が発表している宿泊旅行統計調査によると、2022年1月から12月までの国内観光客の延べ宿泊者数は、4億3,396人泊でした。都道府県別では、東京都に続く2位に関西地方の大阪府がランクインしています。以下、北海道・千葉県・神奈川県の順になっており、6位が京都府です(※1)。
関西地方における国内観光客の延べ宿泊数は以下のとおりです。
施設所在地 |
延べ宿泊者数 |
シェア |
大阪府 |
28,392,800人 |
6.5% |
京都府 |
19,697,110人 |
4.5% |
兵庫県 |
12,508,070人 |
2.8% |
奈良県 |
2,039,860人 |
0.4% |
滋賀県 |
3,514,770人 |
0.8% |
和歌山県 |
3,954,470人 |
0.9% |
国内観光客の約16%が関西地方を訪れて宿泊しています。ただし、大阪府・京都府・兵庫県以外の奈良県・滋賀県・和歌山県は延べ宿泊者数のシェアが1%未満にとどまってます。
(※1)観光庁 宿泊旅行統計調査(令和4年・年間値(確定値)
観光庁が発表している宿泊旅行統計調査によると、2022年1月から12月までの国内観光客の延べ宿泊者数は、4億3,396人泊でした。都道府県別では、東京都に続く2位に関西地方の大阪府がランクインしています。以下、北海道・千葉県・神奈川県の順になっており、6位が京都府です(※1)。
関西地方における国内観光客の延べ宿泊数は以下のとおりです。
施設所在地 |
延べ宿泊者数 |
シェア |
大阪府 |
28,392,800人 |
6.5% |
京都府 |
19,697,110人 |
4.5% |
兵庫県 |
12,508,070人 |
2.8% |
奈良県 |
2,039,860人 |
0.4% |
滋賀県 |
3,514,770人 |
0.8% |
和歌山県 |
3,954,470人 |
0.9% |
国内観光客の約16%が関西地方を訪れて宿泊しています。ただし、大阪府・京都府・兵庫県以外の奈良県・滋賀県・和歌山県は延べ宿泊者数のシェアが1%未満にとどまってます。
(※1)観光庁 宿泊旅行統計調査(令和4年・年間値(確定値)
コロナ禍に落ち込んだ訪日外国人旅行者数は急速に回復する一方、特定の地域に観光客が集中するオーバーツーリズムなどの問題も浮き彫りになっています。ここからは関西地方の観光における課題について解説します。
関西地方を訪れる外国人旅行者の訪問先は、大阪・京都に集中している状況です。訪日外国人の需要は回復傾向にあり、関西地方の来訪者数は好調に推移すると予測されています。
インバウンド需要が急激に拡大すると、旅行者が集中する大阪・京都では、キャパシティを超えた観光客が訪れるオーバーツーリズムの問題が懸念されます。訪問先を兵庫・奈良・滋賀・和歌山に分散するような、周辺の観光資源への誘導も必要になるでしょう。
訪日外国人旅行者に人気が高い京都市では、バスの運送能力を超えた観光客の来訪により、バスターミナルやバスの混雑が激化。特に外国人旅行者は大型のキャリーケースなどの荷物が多く、季節によっては混雑による積み残しが発生しています。
地域住民が公共交通機関の利用がしづらい状況となり、オーバーツーリズムの影響を受けています。
2023年8月に京都市観光協会がおこなった調査によると、宿泊・飲食などの観光関連事業者のうち約7割が人手不足を感じていると回答しました(※2)。
人手不足の要因として就職希望者が少なさを挙げた事業者は70%、離職者の多さを挙げた事業者は42.7%にのぼりました。コロナ禍よりも従業員が減少している事業者も多く、2025年に開催が迫っている大阪・関西万博の影響で更なる人手不足を懸念する声も出ています。
(※2)京都市観光協会 観光業界における人手不足についての臨時調査の結果について
2025年の大阪・関西万博開催を控える関西地方では、各自治体が積極的に観光プロモーションを実施しています。ここからは、関西地方が観光プロモーションで目指す姿・おこなうべきことについて解説します。
関西地方には、京都・奈良を中心とする文化財や歴史的建造物、食い倒れの街大阪と称される多彩な食文化などの観光資源が多数存在します。これらの豊富な観光資源を活用し、地域をつなげる観光プロモーションが不可欠です。
近畿地方整備局・近畿運輸局・関西観光本部の3者が策定した「大阪・関西万博に向けた関西観光アクションプラン」に沿って、関西地方では様々な事業が実施されています。2023年に実施された主な事業は以下のとおりです。
これらは2023年の実施事業のごく一部に過ぎません。
コロナ禍による離職者が多い観光業では、人材の確保及び離職防止の対策が急務です。観光資源を活用して地域の魅力を伝えるには、観光業に従事している方や地域の魅力を理解して伝えられる方同士のネットワーク構築が必要です。
観光客の増加を図るには、観光や旅行をする方を受け入れられる環境整備が求められます。そのためにも人材確保が不可欠です。
観光コンテンツの造成に加えて、関係者による検討会・協議会を実施するなど、人材で地域をつなげる取り組みが求められます。
人材で地域をつなげる具体的な取り組み事例として、以下のような事業が実施されています。
施策名 |
概要 |
kansai観光コネクト事業 |
・関西の観光地をつなぐための人材育成セミナーの開催 |
まちブラ万博ネットワーク |
・万博開催に合わせて地域間で観光ネットワークを構築 ・「観光地経営」のノウハウを共有し、持続可能な観光まちづくりを目指す |
関西観光まちづくりコンサルティング |
・観光有識者や旅行業者等のメンバーで地域が抱える課題やターゲット層・目指す方向性などを議論 ・観光による地域活性化に向けた取り組みへの助言をまとめた「観光まちづくり提案書」の交付 |
大阪・関西万博で訪日外国人の来訪も見込まれる中で、観光業に携わる人材の獲得や観光地間・観光業者間の連携強化がより求められるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大により、観光業は大幅な売上減少に直面し、同時に観光のあり方も変貌を遂げました。メタバースを活用した宿泊や遠隔地での観光体験など、デジタル技術の活用も進んでいます。
今後は、デジタル技術を活用した観光DXの推進により、旅行者の利便性向上や観光産業における生産性向上等に取り組む必要があります。2023年には、関西MaaSの構築や京都市の移動経路の分散によるオーバーツーリズムの解消、ゴミ箱の設置箇所を増やしポイ捨てを減らすなどの対策がおこなわれました。
訪日外国人旅行者の手配方法は、個人旅行(FIT)が84.1%を占めており、今後も増加すると考えられます(※3)。
個人旅行の場合、言葉の壁があって目当ての観光地への訪問が難しいケースも多いでしょう。また、地方は交通機関の運行本数ならびに外国語表記の案内が少なく、乗り継ぎや移動を含め使いこなすのが困難です。
食事・買い物や宿泊などの情報取得の方法も限られるため、乗り継ぎや情報取得の手間がかからないバスツアーのニーズが高まっています。関西地方の名所・観光地を手軽に移動して景色や食事を楽しめる手段として、各地を周遊するバスツアーの造成が促進されています。
※3)観光庁 訪日外国人の消費動向
2017年、関西地方全体で観光客の誘客に取り組むために、広域連携DMOとして「関西観光本部」が設立されました。関西観光本部は、関西地方2府4県に加えて福井県・三重県・鳥取県・徳島県を対象地域とした、関西で唯一の広域連携DMOです。
2025年の大阪・関西万博を見据えて、関西広域でのインバウンドや国内観光客の誘客増加を目的とした様々な観光振興に取り組んでいます。
関西観光本部の取り組みの一つに「手ぶら観光」の推進が挙げられます。手ぶら観光は国土交通省が推進している取り組みの一つです。
訪日外国人は宿泊先のホテルをチェックアウトした後、大きな荷物を持ったまま観光地を巡って次の宿泊先に移動します。大きなスーツケースを抱えた状態で交通機関で移動して観光するのはストレスフルなだけでなく。行動範囲も限定されるでしょう。
そこで、宅配便のサービスを活用し、大きな荷物を持たずに手ぶらでの観光が可能な環境を整える取り組みを推進しています。
経済産業省近畿経済産業局では、2025年の大阪・関西万博の開催を見据えて、訪日外国人に関西の魅力を発信するPR動画を制作。併せて、海外への販路開拓や国内外からの誘客を進める12の地域ブランドを⽇本語版・英語版のPR動画で紹介しています。
観光庁の「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果では、多言語表示・コミュニケーションで困った場面の調査結果が出ています。
同調査によると、訪日外国人が鉄道・駅で困ることとして約4割が挙げているのが、交通機関の切符購入です。
このような課題を解消するべく、関西観光本部では1枚のカードで関西エリアの公共交通を利用できるICカード「KANSAI ONE PASS」を販売し、回遊性の向上を図っています。
関西地方で実際におこなわれている観光プロモーションの取り組み事例を、それぞれの府県ごとにご紹介します。
大阪府はSNSや動画を活用した情報発信を積極的におこなっています。大阪観光局のInstagramアカウントDiscover OSAKA, JAPANは2024年2月15日現在、投稿数は360件でフォロワー数が5.1万人を超えています。
また、大阪観光局では2YouTubeの動画制作も積極的におこなっており、YouTubeチャンネルOSAKA INFOでは、英語で大阪の魅力を発信しています。最も再生数が多い動画は、2024年2月15日現在で3,500万回再生を超える人気です(※4)。
※4)OSAKA INFO In the lead up to the Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan. Osaka is more exciting than ever!
京都府は令和5年に、観光総合戦略の改定案を作成しました。改定案では、地域住民や観光客の交流機会の創出を目指し、京都観光における新たな価値の創造を目標に掲げています。
交流を深めるための施策として、修学旅行の誘客強化や学生同士の交流促進などの関係人口を増やす取り組みを強化しています。
新たな価値の創造の具体的な事例として挙げられるのは、宇治茶など宇治市の観光資源を紹介するプロモーション動画「宇治市〜宇治茶と源氏物語のまち〜」です。オリジナルのゲームを作成して実況するというユニークな動画が人気を呼んでおり、2024年2月15日現在時点で16万回の再生回数を誇ります(※5)。
※5)ujicity 【宇治市PR動画】【ゲーム実況動画編】観光アクションゲーム「宇治市〜宇治茶と源氏物語のまち〜」
兵庫県は2023年から5年間、ひょうご新観光戦略を計画して観光プロモーションを展開しています。目指す姿として「より深く、何度でも訪れたい地、HYOGO」を掲げ、3つの重点施策を講じています。
具体的な事例としては、兵庫県の風土や歴史を深く知り、その土地に根付いた食や文化・伝統に触れる「兵庫テロワール旅」のコンテンツの磨き上げの遂行などです。2023年には観光列車「兵庫テロワール旅号」の運行やスタンプラリーなどを実施しました。
奈良県は茶の湯文化など日本の伝統文化を受け継いだ地域です。日本の歴史や文化に関心の高い富裕層の外国人観光客に対し、日本文化を体感できるコンテンツを創出してインバウンドの誘客促進につなげています。具体的には、寺院境内の歴史ある茶室での「茶の湯」体験などを実施しています。
また、奈良県は「TikTok」を運営しているBytedance株式会社と提携して、プロモーション動画を制作。おすすめのスポット・グルメや温泉などを紹介する公式TikTokアカウントは、2024年2月15日現在延べ10万以上の「いいね」を獲得しています(※6)。
※6)TikTok 奈良県(観光プロモーション課)
滋賀県は自然と歩みをそろえ、ゆっくりていねいに暮らすことで培われてきた滋賀のリズム「シガリズム」を共通のコンセプトとして掲げ、観光を推進してきました。滋賀らしさを取り入れた観光コンテンツの創出や、観光施設の高付加価値化を進めています。
具体的な観光プロモーション事例として、比叡山の高付加価値食のイベント「DINING OUT HIEIZAN」が挙げられます。
「DINING OUT HIEIZAN」は、民間企業と比叡山観光再始動協議会のコラボレーションによるトップシェフや地域住民の方々と創り上げるプレミアムな野外レストランです。世界文化遺産に登録されている延暦寺の歴史・文化と美食を楽しむ2日間の特別ツアーで、自然・歴史・伝統料理を体験しながら、日本の文化や宗教について学ぶ絶好の機会になりました。
和歌山県は観光プロモーションを強化すべく、2023年8月に新キャッチフレーズとロゴマークを作成しました。新しいキャッチフレーズは「聖地リゾート!和歌山」です。高野山や熊野といった神々の棲む聖地だけでなく、文化や歴史・温泉・食・アミューズメントなどにおける様々な聖地があります。
日本書紀に掲載されている温泉・熊野詣・仏教の聖地高野山など、豊富な観光資源を有する聖地リゾートとして積極的なプロモーション活動をおこなっています。2023年におこなわれたプロモーション活動は以下のとおりです。
スタンプラリーは抽選でペア宿泊券やわかやまの逸品が当たります。
関西地方では、それぞれの府県や自治体ごとに積極的に観光プロモーションをおこなっています。しかしながら、大阪府・京都府とほかの県での来訪者数には大きな差があります。
今後、観光プロモーションの効果を高めるには広告配信によって認知度向上を図る施策が効果的です。本章では、自治体の観光プロモーションに適したサービスとして「まちあげ」をご紹介します。
「まちあげ」は課題を抱える自治体のニーズに合わせた広告配信が可能です。広告配信のセグメントは、位置情報・興味関心のある内容や過去の訪問履歴など多種多様です。
「まちあげ」では、数値レポートだけでなく配信された広告を閲覧したユーザーがどれだけ各自治体に来訪したかがわかるレポートを用意しています。
このように広告配信後の来訪数が計測できるため、観光プロモーションの効果がわかりやすいのはメリットといえるでしょう。
関西地方では2025年の大阪・関西万博の開催決定にともない、観光プロモーション活動が盛んです。しかしながら、関西地方の観光にはオーバーツーリズムや観光業の人手不足など様々な課題もあります。
本記事では、関西地方の観光の現状と課題・関西地方での観光のあり方や目指すべき姿について解説しました。加えて、各府県ごとの観光プロモーションの事例をご紹介しました。
記事の後半で取り上げたのは、自治体の観光プロモーションに適した広告配信プラットフォーム「まちあげ」です。これから観光プロモーションをより強化したいと考えているご担当者は、ぜひ「まちあげ」の活用をご検討ください。