2022年10月新型コロナウイルス感染症の水際対策が大幅に緩和されました。
それにともない、入国者数の上限が撤廃され、海外からのインバウンド(訪日外国人旅行)が急速に戻りつつあります。
円安の影響もあり、2023年度以降も外国人旅行者は増えていくと予想されます。
「アフターコロナに合わせて訪日外国人旅行者にアプローチしたいけど、どのように対策したらよいのかわからない。」
このように考えている自治体の担当者の方は多いのではないでしょうか。
インバウンド観光促進のプロモーションは、ターゲットを明確に設定することや、訪日外国人のニーズに合わせてアプローチをすることが大切です。
また、ターゲットに合わせた手段で発信していくことも重要です。
この記事では、インバウンド観光促進におけるプロモーションの方法や、インバウンド集客を成功させるためのポイントをご紹介します。
また、プロモーションに使えるツールや成功事例についても解説するので、参考にしてください。
最後に、インバウンド観光促進プロモーションで活用できるサービス「インバウンドでまちあげ」についてご紹介します。
インバウンド観光促進のプロモーションでお悩みの自治体のご担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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日本では少子高齢化が進行しており、今後の国内の個人消費の低下が予想されます。
そんな中、訪日外国人観光客による消費支出がもたらす効果が日本経済に大きな影響を与えています。
その理由は、インバウンド需要が日本の個人消費の減少分をカバーできると考えられているからです。定住人口が1人減ると年間消費額は130万円減少するとされています。
観光庁の「観光を取り巻く 現状及び課題等について」によれば、定住人口1人減少分の130万円を補うためには、以下のいずれかの観光消費が必要です。
国内の個人消費が低下していくと予想される状況においては、国内旅行者で消費を補うよりも、外国人旅行者による消費が最も効率的かつ効果的といえます。
インバウンド観光客による需要が増えることで、宿泊費や交通費、おみやげやサービスの購入などで消費支出がもたらす経済効果が期待できます。
観光庁の「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」によると、訪日外国人旅行者数は近年増加傾向にあり、2011年は622万人程度でしたが、2019年には3,188万人まで増加しています。同じく観光庁の「訪日外国人の消費動向」によると、消費額については4兆8,135億円と5兆円に迫る勢いです。
このように、年間数兆円もの消費がインバウンドによって発生しています。
少子高齢化による人口の減少と、日本国内の個人消費の低下が懸念される中で、インバウンドがもたらす経済効果は非常に重要といえます。
訪日外国人旅行者が増えることで自治体が得られるメリットは、経済効果だけにとどまらず、地域活性化に寄与する効果も期待できます。
外国人旅行者が地方での観光を楽しむことで、交流人口が増加し、地域の観光地や商業施設が賑わいを見せるでしょう。
観光客が多く訪れることになれば、地域の新たな雇用の増加にもつながります。
地域産業が活性化すれば、企業の投資の拡大や、観光関連産業の生産性向上などの、様々な効果が期待できるでしょう。
インバウンド集客とは、訪日外国人旅行者を自治体に集客するための施策です。
それぞれの観点から、インバウンド集客について解説します。
観光によるインバウンドは、今後の日本経済の発展には欠かせないものとして期待が高まっています。政府が掲げる目標は、2030年までにはインバウンド観光客を6,000万人に増やすことです(※1)。
2020年度は新型コロナウイルスの影響により412万人(※2)にとどまったインバウンド観光客が、2023年には数はコロナ前の7割程度(※3)へと急速に戻りつつあります。
インバウンドのさらなる拡大を実現するには、旅行消費額の増加や自治体への誘客の促進に向けた、戦略的なプロモーションが不可欠です。
※1)観光庁 訪日外国人旅行者の受入環境整備
※2)観光庁 令和4年版観光白書について
※3)JNTO 訪日外客数(2023年5月推計値)
自治体がインバウンド集客に取り組むにあたっては、課題も多くあります。その課題を一つひとつ解決していかなくてはいけません。
<公共交通機関>
多くの訪日外国人旅行者は目的地を訪れる際に、公共交通機関を利用します。
都市部では目的地までの乗り換えが煩雑で、地方に関しては駅からの交通の便が悪い所がまだまだ多く、交通インフラをより充実・強化することが重要です。
<通信環境の整備>
外国人旅行者に対するアンケート調査結果についてでは、旅行中の困ったことの1つとして、無料のWi-Fi環境が整備されていないことへの不満が多く挙げられています。
GoogleマップやSNSなどを活用して、観光地を訪れる外国人旅行者に向けて、無料のWi-Fi環境の整備や、PCやスマホが利用できる環境づくりも求められています。
<キャッシュレス対応>
近年のキャッシュレス化にともない、QR決済やクレジットカードで支払いできないことに対する不満も多く聞かれるのが実情です。
キャッシュレス決済サービスに対応してない店舗やサービスは、利用したくても利用できない観光客を増やすことになり、機会損失につながる可能性が高まるでしょう。
<多国語表示対応>
全体的に英語が通じずコミュニケーションが取れない、英語による情報表示や地図の案内が不足しているなどの課題が、国内の多くの地域で共通しています。
英語を始め、多国語表示の看板やメニューを作成したり、翻訳機を導入したり、外国語を話せる従業員を雇うなどの取り組みが必要です。
<人手不足>
観光業の人手不足も深刻な問題の1つです。新型コロナウイルスによる事業縮小の影響で、フロントスタッフや配膳、清掃の人材が不足しています。
さらに、観光インフラの整備についての知識や技術に精通した人材も不足しており、外国人旅行者を受け入れる際の細かなケアが出来ていないのが実情です。
この章では、自治体がインバウンド集客を成功させるポイントを3つに絞って解説します。
自治体のインバウンド集客で重要なのは、ターゲットとなる外国人旅行者を明確に定めることです。どの層にも幅広く当てはまるようにとの考えでは、観光客の心を掴むのは難しいでしょう。
年代や性別、国や地域、さらには趣味嗜好によってアプローチの仕方を変える必要があります。メインターゲットがどの層なのかを明確に設定することで、より効果的なアピールが可能になるでしょう。
日本には数多くの魅力的な場所や文化があります。しかし、それがすべて外国人旅行者のニーズに合致するとは限りません。ターゲットとなる外国人旅行者が日本に何を求めているのかをリサーチすることが重要です。
インバウンドの人気が高い場所・商品・サービスを理解したうえで、ターゲットとなる外国人旅行者が求める商品やサービスを提供していくことが大切です。
訪日外国人旅行者は、ガイドブック以外にも旅行サイトや個人ブログ、SNSなどのインターネットで情報収集をおこなうケースが多いのが特徴です。それゆえ、WebやSNSコンテンツを活用した発信が効果的だといえるでしょう。
自治体がSNSでの発信をおこなう際は、どのSNSツールで発信するかも重要です。
アプローチをしたい層が利用してるツールはInstagramがメインなのか、FacebookやTwitterなのかを事前にリサーチしましょう。よりターゲット層にリーチしやすいSNSツールでの発信を心がける必要があります。
この章では、インバウンド集客に必要なプロモーション活動の具体例を解説します。
日本政府観光局の訪日旅行データハンドブック2022年によると、 外国人が訪日旅行前に役立った旅行情報源はSNSが24.6%、個人のブログが24.4%です。
実際のリアルタイムな画像や情報から、旅行計画を立てる外国人観光客が多い現状がうかがえます。
自治体が観光地の魅力をより具体的に伝えるには、画像や動画によるSNS発信が有効です。その際は画像や動画に加え、ハッシュタグ(#)が不可欠です。場所や観光地を表す「#kyoto」「#mtfuji」や、海外の旅行好きがよく検索する「#travel」「#japantrip」などのハッシュタグを付けて情報を発信すると効果的でしょう。
ポータルサイトや旅行メディアの代表的なものとしては、日本政府観光局が運営する総合観光サイトの「JNTO」が挙げられます。
政府機関が運営していることもあり、信頼性と情報量に優れています。各地のイベント情報や、おすすめの食の情報や移動手段まで、観光に必要な情報が網羅されているのが特徴です。グローバルサイトは、英語はもちろん、スペイン語や中国語など15ヵ国語に対応しています。
世界各国にフォロワーを持つ、外国人インフルエンサーに情報発信してもらうプロモーション方法も有効です。自治体がアピールしたい場所を紹介してもらったり、現地のアンバサダーとして起用したりすることで、多くのフォロワーに対して訴求できます。
ただし、マーケティングの目的に沿ったインフルエンサーを起用しないと、成果が得られないばかりでなく、イメージダウンになるおそれもあります。
自治体の担当者はその点もしっかり見極めたうえで、インフルエンサーを起用するか決めるようにしましょう。
アニメツーリズムとは、アニメや漫画の舞台となった場所や、作家のゆかりの地などをファンが訪れる「聖地巡礼」のことを指します。
近年、日本のアニメや漫画は日本のみならず、世界的に注目されており、海外でも多くのファンを獲得しています。作品とコラボしたイベントを開催したり、グッズを展開することで、飲食や宿泊以外の消費促進につながるでしょう。
この章では、自治体のインバウンド観光プロモーションに使えるツールをご紹介します。
SNSは国内外問わず自治体が集客に使えるツールです。各SNSの特徴を理解し、ターゲットとなる層が多く使用しているSNSを活用することで効果的なアピールができます。
例えば、InstagramやTikTokであれば、画像や動画が中心のため視覚的な情報に向いており、Twitterであれば文字情報がメインです。Facebookではグループ機能を用いて他の自治体や地域関係者との交流・情報共有を図ることができます。
訪日外国人旅行者にとって、旅行前に役立った旅行情報源の上位にあがっているのがブログです。ブログなどのオウンドメディアの特徴は、一度配信したら削除しない限り継続的に残ることです。
ブログに投稿する記事が増え、サイトも充実してくるとGoogleなどの検索エンジンで上位に表示されやすくなり、多くの方の目に留まる可能性が高まります。
Googleビジネスプロフィールは、Googleマップを活用したプロモーションツールです。Googleマップ上に店舗情報を表示させることで、集客効果が期待できます。
観光地や自治体が管理する施設のGoogleビジネスプロフィールの運用だけでなく、地域の店舗・施設へのGoogleビジネスプロフィールの導入を促進しましょう。その際、可能な限り多言語の表記を増やしたり、レビューにもこまめに返信したりすることで、より外国人旅行者の目に留まりやすくなるでしょう。
この章では、自治体がインバウンドを受け入れる際に役立つツールをご紹介します。
訪日外国人旅行者が不満に感じる点に、「英語が通じない」「英語案内が少な過ぎる」などが挙げられます。
このような不満を解消するツールとしては、音声翻訳ツールやアプリの導入を検討しましょう。多言語音声翻訳サービスや翻訳アプリなどの活用によって、地域を来訪した外国人が抱きがちな、上手に意思疎通が取れないなどの不安の解消につながります。
電子決済サービスは、スマレジやAirペイなど様々な種類があるため、外国人旅行者がよく利用する決済方法を導入するのがよいでしょう。
サービスによって、固定費や決済手数料がかかってくるため、よく比較検討して公共施設などへの導入を検討しましょう。
外国人観光客が増えてきて問題になるのが、マナーに関する問題です。国によっては、トイレットペーパーはトイレに流せずに、トイレ内のゴミ箱に捨てるルールになっています。自国との生活習慣に戸惑う方も多いのが現状です。
京都府では外国人観光客向けにトイレの使い方に関する啓発ステッカーを、洋式用、和式用の2種類配布しています。
福岡県では公共施設におけるマナーなど、さまざまなシチュエーションに関するインバウンド向けマナーマンガを各施設の掲示用に作成しました。
また、観光庁では、旅館の宿泊に関する疑問に回答する「旅館Q&A」をホームページ内に掲載しています。旅館の館内利用時の注意事項や、チェックインの手続きなどを動画でわかりやすく解説しているのが特徴です。
観光庁の訪日外国人観光客の受入れ関連情報には、訪日外国人旅行者が具合が悪くなった場合に必要な情報と、医療機関のかかり方などのガイドブックが掲載されています。
また、災害時の案内リーフレット、災害時情報提供アプリを紹介しており、災害発生時を含めて、安心・安全に滞在できるようなマニュアルが用意されています。
この章では、自治体によるインバウンド集客の成功事例を3つ解説します。
岐阜県高山市は、世界的にヒットしたアニメ映画「君の名は。」の聖地として外国人に人気です。作品の中に登場するスポットや飛騨高山の古い町並みを、ハッシュタグ「#hidatakayama」を付けてFacebookやInstagramで紹介している投稿が多く見られます。
岐阜県高山市は、1986年からいち早く国際観光都市宣言をし、インバウンドに取り組んできました。2019年には外国人宿泊数が61万人を超えており、行政と事業者が一体となって、30年以上も観光施策に取り組んでいる歴史があります。
2つ目は、高知県の外国人向け観光情報サイトの「VISIT KOCHI JAPAN」です。
高知県の知名度がまだまだ低い状況を打破し、高知の魅力を海外向けに情報発信を強化すべく、2015年9月にリリースされました。
台湾や香港、韓国などアジア圏をターゲットに、英語・中国語・韓国語・タイ語の4ヵ国語に対応しています。WebサイトとFacebookを中心に、YouTubeやInstagram、Twitterなど様々なSNSも活用した情報発信が特徴です。
特に、Facebookでは、高知県内在住の英語ネイティブに記事や写真を依頼し、外国人目線から高知県の魅力を伝えています。さらに、訪日外国人旅行者に直接ヒアリングしており、外国人のニーズをきちんと分析できていることが人気の要因だと考えられます。
3つ目は、海外のインスタグラマーをアンバサダーに起用して成功している埼玉県の事例です。埼玉県の川越・長瀞・秩父・飯能をPRするために、「LOVE SAITAMAアンバサダー」制度を設定し、ニュージーランドと香港出身の2名の外国人を起用しています。
その内1名はInstagramでフォロワー9.2万人(2023年7月現在)を獲得しているインフルエンサーです。弓道を中心に日本の伝統文化の魅力を伝えています。
「インバウンドでまちあげ」とは、マイクロアドとマイクロアド台湾と連携した、台湾からの訪日観光客の自治体への誘致を支援するインバウンドプロモーションサービスです。
自治体の魅力や特徴をより多くの方に伝えることができるよう、自治体のSNS公式アカウント運用のほかに、マイクロアド台湾が運営する、月間250万PVを誇る台湾・香港女性向けメディア「Japaholic(ジャパホリック)」でも発信をおこないます。
また、「Japaholic」の記事に接触したユーザーの分析や、位置情報データを活用した県や市区単位での来訪計測が可能です。さらに、各自治体における、観光客の想定消費額のレポートを提供することもできます。
こうした分析によって、広告配信後にどのような方が地域に興味を持ったのかを可視化し、今後のプロモーションに活かすことができます。
インバウンド観光による消費額は年間5兆円にも迫る勢いです。
少子高齢化にともない国内の個人消費が低下していく中、外国人旅行者による消費で補うのが最も効果的といえます。
自治体がインバウンド観光による効果を上げていくためには、プロモーションによる集客は欠かせません。集客をおこなうにあたっては、ターゲットを明確に設定することや、ニーズに合わせたアプローチが大切です。
インバウンド観光を担当する自治体の方々は、今回紹介した集客のアプローチ方法やツールを参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。また、自治体のインバウンド向けWebプロモーションには「インバウンドでまちあげ」を活用するのもおすすめです。ぜひ参考にしてください。