自治体が移住を訴求するための情報発信のポイントとは?
まちあげパン太
まちあげの紹介から、WEBマーケティングに携わる方向けに、Web広告に関わる幅広いコンテンツをお届けします。
コロナ禍になってから「移住」というキーワードをよく耳にするようになりました。
リモートワークが普及し、ストレスの多い都心での生活から離れ、地方での移住生活に憧れを抱く方が増えてきたのです。
この記事では移住を検討している方に向けて、効果的に移住を訴求する方法についてご紹介していきます。
「なぜ20代・30代の移住者が増加しているのか?」
「移住希望者が移住先を選ぶ際のポイントとは?」
「移住者が増えている自治体はどんな取り組みをしているのか?」
なども解説します。
都市部への人口集中が問題になっている中でも、移住者を獲得している自治体は少なくありません。地域の持続的な活性化を目指して移住を訴求していきましょう。
また記事の後半では、マイクロアドが提供する地方自治体に特化したマーケティングプロダクト「まちあげ」についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次を表示
- 移住とは
1.1 移住の種類
1.2 移住する理由
1.21 転勤、異動が理由での移住
1.22 自然の多い環境を求めて
1.23 子育てがきっかけでの移住
1.24 コロナによる働き方の変化で移住 - 20代・30代の移住者が増加傾向
2.1 若い世代の移住者が増加している原因
2.2 移住者が移住先に求めていること
2.3 移住希望者を4つのタイプに分類
2.31 自分の成長できる場所を求めているモノづくり志向
2.32 自分の居場所を作りたい地域貢献志向
2.33 子供のために環境を変えたい子育て志向
2.34 都会の喧騒を離れのんびり暮らしたいスローライフ志向 - 移住者が感じるメリット・デメリット
3.1 移住する際に意識したこと
3.2 移住してよかったこと
3.3 移住して後悔したこと - 移住人気が高い自治体
4.1 茨城県つくば市
4.2 千葉県流山市
4.3 広島県府中町 - 自治体がおこなっている移住・定住施策の事例
5.1 事例①北海道栗山町
5.2 事例②青森県弘前市
5.3 事例③栃木県栃木市 - 移住訴求をおこなう際のポイント
6.1 移住訴求するための情報発信
6.2 移住相談はオンライン相談が増加中
6.3 移住支援金や子育て支援でアピール - 地方自治体に特化したマーケティングプロダクト「まちあげ」
7.1 ターゲットを絞った移住訴求ができる
7.2 自治体に特化した分析レポートの提供が可能
7.3 移住訴求の実例 - まとめ
移住とは、今住んでいる場所とは別の場所に移り住むことをいいます。
引越しや転居などとほぼ同じ意味で使われることもありますが、近年は「望ましいライフスタイル」を求めて移り住むことを指す場合が多いです。
1.1 移住の種類
移住はライフスタイルによって、大きく以下の3種類に分けることができます。
- ・定住(Uターン、Iターン等)
- ・二拠点生活
- ・ノマドワーク
都会に出てきた地方出身者が、地元に戻って定住することをUターン、都会で生まれ育った方が地方に定住することをIターンといいます。
「二拠点生活」も新しい移住の形式として注目を集めています。デュアルライフとも呼ばれているライフスタイルで、都会と地方の両方に生活拠点を所有することを指します。例えば、平日仕事があるときは都心部で暮らし、休日を地方で過ごすというスタイルです。
特定のオフィスや仕事場所を持たずに、自分の好きな場所で仕事をするライフスタイルをノマドワークといいます。こういった方々は地方や都心、また国内外問わずに生活拠点を選ぶことができます。
1.2 移住する理由
移住を選択する理由としては、主に以下の4つが考えられます。
- ・転勤、異動が理由での移住
- ・自然の多い環境を求めて
- ・子育てがきっかけでの移住
- ・コロナによる働き方の変化で移住
それぞれについて詳しく説明します。
1.21 転勤、異動が理由での移住
仕事で地方に転勤になった、部署が変わって違う支店に行くことになったなど、仕事が理由で移住をスタートしたという方が移住者の4割近くを占めます。
1.22 自然の多い環境を求めて
転勤・異動に次いで多いのが、自然の多い環境に住むためという理由です。人混みの多さや都会の騒音から離れてのんびりとした生活に憧れを抱く方も多いといえます。
1.23 子育てがきっかけでの移住
子どもにとって、よりよい環境で育児をしたいという理由で移住を決める方もいます。自然豊かで空気が美味しい土地で、新鮮な野菜や魚を食べることができる環境は、子育てには魅力的です。また、子育て支援が手厚い自治体は、移住先を決める要因の1つになり得ます。
1.24 コロナによる働き方の変化で移住
コロナの影響で在宅勤務やリモートワークを取り入れる企業が増え、どこにいても仕事ができる時代になりました。通勤の必要がなくなり、わざわざ都心部を生活の拠点にする必要がなくなったため、移住を決めた方も多いでしょう。
移住を選択する方の多くは、働き盛りの20代〜30代であることをご存じでしょうか。共同通信のアンケート結果によると、33%の自治体が20〜30代の移住者が増えたと回答しています。
2.1 若い世代の移住者が増加している原因
「(一社)移住・交流推進機構」の調査では、若い世代が移住に興味を持つ理由として、「山・川・海などの自然にあふれた魅力的な環境」という回答が5割を超えています。
次いで、子育てに適した自然環境や、子どもの教育・知力・学力向上という理由が挙げられました。
また、地方移住を支援するNPO法人ふるさと回帰支援センターによると、10年前には16%だった30代以下の相談者の割合が、現在は50%を超えています。それゆえ、若年層へ向けた自治体の魅力のアピールと移住の訴求が重要だといえるでしょう。
2.2 移住者が移住先に求めていること
先程の調査結果でもわかるように、移住したいと考えている方の多くは豊かな自然やリラックスできる環境を移住先に求めています。
ただし、自然が豊かな土地というだけでは移住を決心することは難しいでしょう。
そのほかに移住先に求めることとして、地方ならではの安心で安全な食材が手に入ることや、移住先での仕事の確保が挙げられます。また、自身の趣味を楽しめるかどうかも重要な要因となりうるでしょう。
これらの移住者が求めることを自治体がサポートできれば、移住検討者の背中を押すことになるのではないでしょうか。
2.3 移住希望者を4つのタイプに分類
移住を希望する方は、大きく以下の4つのタイプに分類することができます。
- ・自分の成長できる場所を求めているモノづくり志向
- ・自分の居場所を作りたい地域貢献志向
- ・子供のために環境を変えたい子育て志向
- ・都会の喧騒を離れのんびり暮らしたいスローライフ志向
それぞれについて説明いたします。
2.31 自分の成長できる場所を求めているモノづくり志向
人生において「自分の成長」に重きを置いている方も多いのではないでしょうか。
移住希望者の中には、知らないことや興味があること、好きなことなどに自身のエネルギーを存分に発揮して生活したい「モノづくり志向タイプ」がいます。地方の農業や漁業に力を入れたり、伝統工芸に興味があったりと内容は様々ですが、自分らしい生活を求めて移住を希望します。
2.32 自分の居場所を作りたい地域貢献志向
都会での生活において、自分自身の日々の暮らしに精一杯で、自分が暮らす地域や周囲の人々のことを考える余裕がない方も多いでしょう。それでも誰かの役に立ちたい、自分の居場所が欲しい、地域に貢献したいと強く願っているのがこのタイプです。
そんな地域貢献志向タイプの方は、自分が暮らす地域で自分のできることを探したり、地域のコミュニティで活躍したいと考えて移住を希望します。
2.33 子供のために環境を変えたい子育て志向
子育てをおこなううえで、住環境や教育環境など子どものことを第一に考えて移住を検討する方も多いでしょう。子どもに安全で新鮮な食材を食べさせたい、自然が豊かな土地で育児がしたいと考えるタイプは、よりよい教育環境を目指して移住を希望します。
2.34 都会の喧騒を離れのんびり暮らしたいスローライフ志向
都会での忙しい生活に疲れて、田舎でのんびりと暮らしたいと考える方がこのタイプです。自然豊かな環境で、自分の人生を楽しみたいと考え移住を希望します。
実際に移住した方を対象としたアンケートでは、地方への移住を「成功」と感じている方は半分ほどという結果が出ています。
移住への憧れと実際の生活において、どのようなギャップがあったのかを見ていきましょう。
3.1 移住する際に意識したこと
都市部から地方へ移住経験がある方の「移住した際に意識したこと」への回答を見ると、「買い物などの日常の便利さ」が43.8%と半数近くを占めます。続いて「住み心地の良い家」が43.1%と、これも半数近くの方が重要視していることがわかります。この情報から、移住した後でも一定の便利さや快適さを求めていることが明らかです。
3.2 移住してよかったこと
「移住してよかったこと」という質問に対しては、は「のんびりと暮らせた」という回答が55.5%と、半数以上の方が満足しています。また「食べ物が新鮮で美味しい」は45.5%と食べ物に魅力を感じています。地方移住者の多くが、自然豊かな環境でスローライフを実現していることが示されました。
3.3 移住して後悔したこと
移住して後悔したことを尋ねると、「車がないと生活できない」という回答が48.3%と、約半分に及びました。次いで、「娯楽が少ない」「給与水準が低い」という回答が続き、地方ならではの問題点が浮き彫りになります。
少子高齢化が進み、人口減に悩む自治体が多数を占める中で、移住者の人気が高く人口が増加している自治体があります。移住希望者に人気の高い自治体を、人気の要因と共に3つご紹介します。
4.1 茨城県つくば市
茨城県つくば市は、北関東に位置する人口約23万人の都市で、2021年の10月に発表された人口増加率ランキングでは全国1位を獲得しています。
つくばエクスプレスで東京まで45分と都心へのアクセスも抜群で、34年連続で人口が増加している移住者に人気の自治体です。
アクセスのよさだけでなく、移住支援金「わくわく茨城実現事業」や子育て支援の「いばらき子育て家庭優遇制度」など、移住者をサポートする制度が充実しているのも人気の理由といえるでしょう。
4.2 千葉県流山市
千葉県流山市は、人口増加率6年連続全国1位を記録した自治体です。つくばエクスプレスで秋葉原まで20分と、こちらも都心へのアクセスが良好な都市です。
ショッピングモールやスーパーなども充実しており、買い物や娯楽には困りません。子育てサロンや子育て会議などを定期的に開催しており、子育てに力を入れている街です。
4.3 広島県府中町
広島県府中町は、周囲を広島市に囲まれた面積10平方キロメートルの小さな町です。隣接する広島市中心部へのアクセスが良好で、町内にも大型商業施設があり買い物には困りません。
コンパクトながらも、小学校が5つあるなど通学にも便利な町で、人口が増加してる自治体の1つです。
ここでは移住者を獲得するための地域性を活かした施策など、自治体がおこなっている移住・定住の訴求施策を3例ご紹介します。
5.1 事例①北海道栗山町
北海道栗山町は、若者・子育て世代の移住や定住の施策とシティプロモーションを連携して訴求をおこなっているのが特徴です。
YouTubeやInstagramなどのSNSを活用して、移住に関心を持っている方に向けて栗山町の魅力をPRしています。HPやパンフレットは子育て世代に向けた内容になっており、そのほか移住体験や就農支援制度など、子育て層・若者層をターゲットにした施策をおこなっています。
5.2 事例②青森県弘前市
青森県弘前市は、東京都に、移住サポートのための「ひろさき移住サポートセンター東京事務所」を設置しています。首都圏の移住検討者が直接足を運んで、相談できる場所があるのが特徴です。
また、弘前市は民間のコミュニティ活動が活発で、移住者に対しても地域コミュニティや施設の情報を提供し、地元住人との交流の場を設けています。
5.3 事例③栃木県栃木市
栃木県栃木市は東武鉄道で東京都内に直結しており、都心へのアクセスのよさをPRしているのが特徴です。東武鉄道を使用した通勤や通学には特急乗車料金補助をおこなっており、都内へ通勤通学する方を支援しています。
また、コミュニティラジオを利用して実際に栃木市に移住した方の生の声を発信し、移住検討者に情報提供をしています。
続いて、移住希望者への情報発信の方法やアピールすべき内容など、移住訴求をおこなう際のポイントを解説します。
6.1 移住訴求するための情報発信
移住希望者は、移住先を検討するにあたって様々な情報を収集します。それゆえ、移住希望者が知りたい情報を過不足なく提供できるかどうかが訴求のポイントになります。移住したあとの具体的な生活のイメージが湧くような良質なコンテンツを定期的に発信することで、移住希望者の興味関心を惹くことができるでしょう。
インターネットやSNSなどを存分に活用し、移住を検討している方に自治体の魅力を発信していきましょう。
6.2 移住相談はオンライン相談が増加中
各自治体には移住相談窓口が設置されています。令和3年度の相談件数は約324,000件と、調査を開始した平成27年度以降、最多の件数を記録しました。
これはコロナ禍を契機とした全国的な地方移住への関心の高まりと、オンライン環境の整備によってオンラインでの窓口相談が増加しているのが要因です。オンライン窓口を活用できるようになったことで、育児や仕事に忙しい若い世代も、気軽に移住の相談をしやすくなったといえるでしょう。
6.3 移住支援金や子育て支援でアピール
移住を検討している方にとって移住支援金や子育て支援は魅力的なポイントです。
移住支援金とは、東京23区で暮らしている方や仕事をしている方が地方に移住する際に交付される支援金です。そのほかにも自治体ごとに移住者への住宅手当などが交付されているケースもあります。
また、医療費の無償化や給食費の補助などの子育て支援の充実度も、移住を検討している方にアピールできるポイントです。自らの自治体が実施している支援やサポートをアピールして移住訴求を図りましょう。
自らの自治体を移住先として選んでもらいたい自治体職員の方にご紹介したいのが、マイクロアドが提供している地方自治体に特化したマーケティングプロダクト「まちあげ」です。「まちあげ」を活用することで、地方自治体のニーズや課題に合わせた、ターゲティング広告配信をおこなうことができます。
7.1 ターゲットを絞った移住訴求ができる
若者の移住者の多くは「結婚」や「出産」など、ライフイベントをきっかけに移住を検討します。「まちあげ」の特徴として、「UNIVERSE(※)」の保有するWeb上の行動履歴を分析して活用できる点が挙げられます。例えば、「結婚・出産」「子育て」などのライフイベントに興味関心がある層にターゲットを絞って、移住を訴求する広告配信が可能です。
※「UNIVERSE」:マイクロアドと提携する約200の企業から、消費者のオンライン・オフラインのライフスタイルデータを収集・集約したマーケティングデータプラットフォーム
7.2 自治体に特化した分析レポートの提供が可能
配信した広告の訴求内容に関心を持った方の属性を確認することができるのも「まちあげ」の特徴です。確認できる属性は以下のとおりです。
・年齢
・性別
・居住地
・ライフスタイル
これらのユーザー属性レポート等を活用して、PDCAを回すことが可能です。また、広告配信した結果、「移住への意識が変わったのか」などを可視化することもできます。アンケートの結果は広告を見た方の生の声ですので、次の施策に反映することができます。
7.3 移住訴求の実例
「まちあげ」を活用した広告配信の実績を紹介します。隣県への通勤アクセスのよさをアピールして、 帰省者・隣県在住者向けに移住訴求をおこなった結果が以下のとおりです。
ターゲット |
帰省者・隣県在住者 |
指標 |
認知 |
CPC |
85円 |
掲載期間 |
4ヵ月 |
4ヵ月掲載して、クリック単価が85円という成果を上げることができました。
昨今、20〜30代の若い移住者が増加しています。結婚・出産や子育て等のライフイベントをきっかけとした移住を訴求するためには、移住を検討している方の求めている情報を提供する必要があります。「まちあげ」は、地方自治体の実施する各種施策に対して、より親和性の高い層を捉えることで、最適化された広告配信が可能です。
「まちあげ」は広告の配信結果を分析して、自治体が必要とするデータを提供するマーケティングプロダクトです。効果的な移住訴求を検討している自治体職員の方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。