自治体における企業誘致の目的とは?企業誘致の手法や要点を解説
まちあげパン太
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企業誘致をおこないたいが、企業に対しどのようにしてアプローチをしたらよいかわからない自治体のご担当者の方もいらっしゃるでしょう。
また、企業誘致を検討するにあたって、どのような点に注意すれば企業誘致に成功し、定着させられるか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自治体の企業誘致におけるアプローチ方法や、企業誘致の課題について解説します。
企業誘致のメリットとデメリットについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次を表示
- 企業誘致とは
- 自治体が企業誘致の際に行う優遇措置
- 自治体が企業誘致を行う目的とメリット
3.1 新たな需要が生まれ地域経済が活性化する
3.2 地元での新たな雇用が生まれる
3.3 税収の増加が見込まれる - 自治体における企業誘致のデメリット
4.1 企業が撤退し失業者が出るリスク
4.2 地域における不利益や損失の発生リスク - 企業誘致の手法を紹介
5.1 地域特有の資源を活かしたアプローチ
5.2 地域の課題を活かしたアプローチ
5.2.1 塾や学びの場の不足
5.2.2 伝統工芸の担い手不足
5.2.3 IT化の遅れ
5.3 地域人材を活用したアプローチ - 自治体による企業誘致の課題を解説
6.1 インフラなどの環境が整っていない
6.2 進出企業の戦略と地域の戦略の方向性が合致していない
6.3 自治体が企業ニーズを把握しきれていない - 企業誘致を行う際に押さえるべきポイント
7.1 企業誘致におけるワンストップサービスとは
7.2 自治体がワンストップサービスを実施するメリット
7.2.1 進出企業の立地手続きの簡素化の実現
7.2.2 企業誘致の初期段階で担当者が決まる
7.2.3 創業後も各分野の専門知識をもったメンバーによるフォローを受けられる
7.2.4 助成金や補助金の情報提供を受けられる - 自治体における企業誘致の成功事例を紹介
8.1 三重県亀山市での成功事例
8.2 岩手県北上市での成功事例 - 自治体の企業誘致を支援するプラットフォーム「まちあげ」
- まとめ:目的を明確にし自治体における企業誘致を成功させよう
企業誘致は、地域経済を活性化させるための取り組みの1つです。
企業の本社(一部機能)や事業所、工場などを地方へ誘引し、都心部への一極集中経済を地方に分散させることを意味します。
企業誘致によって新規雇用機会が増えたり、税収が増加したりすることが、自治体における利点です。
多くの地方自治体は、企業の移転や新規事業を促進するために、助成金や税制の優遇措置などを実施し、積極的な企業誘致に力を入れています。
例えば、千葉県では県の立地企業補助金を認定された企業に対し、設備資金および運転資金を年利率1.6%以内で融資する支援をおこなっています。
宮城県が取り組んでいるのは、「情報通信関連企業でソフトウェアなどの設計や開発機能を持つ企業」の誘致・集積を目指す活動です。
ソフトウェア業や、知事が認めるこれに類する事業をおこなう事業所や事務業務オフィスに対し、固定資産の奨励金や雇用奨励金が交付されています。
自治体が企業誘致に取り組む目的とメリットは、主に下記の3つです。
- ・地域の経済活性化
- ・雇用の拡大
- ・税収の確保
ここでは、企業誘致に伴うメリットとデメリットそれぞれについて詳しく説明します。
3.1 新たな需要が生まれ地域経済が活性化する
自治体が企業誘致に積極的に取り組む目的の1つは、地域経済の活性化を図ることです。
企業の進出により、地域住民の新たな雇用機会が増加すると同時に、生活水準の向上が期待されます。
また、人口増加によりインフラ整備の必要性が高まり、ほかの地域からの人口流入が促進され、人口が増加するケースも少なくありません。
人口増加にともない、進出した企業以外の地元企業にとっても新たな需要が生まれ、地域全体の経済の活性化も期待できるでしょう。
3.2 地元での新たな雇用が生まれる
地域経済の活性化により、進出した企業だけでなく、地元企業による新規雇用が発生し、地域の雇用環境の改善が期待できます。
企業誘致により、地域住民にとって新たな雇用機会が増え、U・Iターン就職の促進にもつながるでしょう。
また、地元で暮らす若者が地域での雇用機会を得られれば、地域外への移住や通勤者が減少し、地域の人口流出を抑制する効果もあります。
3.3 税収の増加が見込まれる
自治体に企業が進出すると、地域内での経済活動が活性化し、自治体の税収増加が見込めるのもメリットの1つです。
新たな企業の進出により、地域経済が刺激され、消費や投資が増えれば地方自治体の税収も増加します。
また、企業が雇用を創出し、地域住民の所得や消費の増加によって、所得税や消費税などの税収の増加も期待できます。
税収が増えれば、自治体は地域のインフラ整備や公共サービスの拡充、教育や福祉などの社会的な施策に予算を充てられ、さらなる地域の発展が見込めるでしょう。
ここでは、自治体における企業誘致のデメリットをご紹介します。
デメリットを正しく把握しておけば、なるべくリスクを回避した計画作成や戦略立案が可能です。
4.1 企業が撤退し失業者が出るリスク
企業誘致に成功したとしても、地元の労働市場で適切な人材の確保が難しく、企業が地域から撤退してしまうリスクが考えられます。
企業の撤退は地域経済に対して深刻な影響を与える場合があり、地域経済の悪化だけでなく、失業者が増加するリスクをもたらします。
人材不足による企業の撤退リスクを避けるためには、自治体が労働市場の状況を正確に把握し、適切な人材育成や雇用対策に取り組む必要があります。
4.2 地域における不利益や損失の発生リスク
企業の進出により、地元住民が不利益や損失を被るリスクも考えられます。
例えば、進出した企業の社員が一斉に通勤すれば、それまでは発生していなかった交通渋滞が起こる可能性があります。
また、騒音や水質汚濁、大気汚染や悪臭などの公害が発生するケースも少なくありません。
そのほかにも、工場を誘致した場合、その施設から出る機械音やトラックの行き来による交通騒音などが周辺住民に影響を与えるおそれがあります。
リスク回避のためにも、自治体は交通インフラを整備したり、企業が地域の環境に与える影響の評価や事前調査を実施したりすることが重要です。
企業誘致の適切な手法を理解することで、地域の強みを活かした魅力的な企業誘致のプラン構築が可能です。
ここでは、企業誘致の手法をいくつかご紹介します。
5.1 地域特有の資源を活かしたアプローチ
地域特有の観光資源や伝統工芸は、企業誘致において大きな魅力です。
例えば、既にある観光地に新たなホテルやレストランを誘致すれば、地元の観光産業の更なる発展と経済の活性化が期待できます。
また、地域に伝わる伝統工芸にはその土地ならではの技術があり、伝統工芸の技術を活かした新商品の開発や、首都圏の企業とのコラボレーションも可能です。
地域特有の資源の活用によって、地域の個性や魅力を最大限に発揮することができ、企業誘致の成功にもつながります。
5.2 地域の課題を活かしたアプローチ
多くの地方自治体の課題として、人口減少や労働力不足の深刻化が挙げられます。
首都圏や大都市の企業が持つ様々なノウハウやアイデアを活用すれば、課題の解決が可能です。ここでは、地域の課題への具体的なアプローチ方法を3つご紹介します。
5.2.1 塾や学びの場の不足
地方の抱える課題の1つは、塾や学び場の不足です。一方、首都圏では、教育関連企業や技術を活用した学習支援サービスが充実しています。
そこで、首都圏の企業と協力し、地方における塾や学び場の不足を解決するためのプログラムやオンライン学習環境を提供すれば、課題解決に向けた取り組みが可能です。
教育プログラムやオンライン学習プラットフォームの導入により、地域の子どもたちや学生に質の高い学習機会を提供でき、教育格差の縮小も期待できます。
5.2.2 伝統工芸の担い手不足
地方自治体にとって伝統工芸の担い手不足の解消を図るのも、重要な課題です。
首都圏にはデザイン関連の企業やクリエイティブ産業が集まっており、伝統工芸と現代のデザインや市場ニーズの融合に熟知している企業も少なくありません。
これらの企業との連携により、伝統工芸の技術やデザインを活用した新たな製品開発やマーケティング戦略の策定が可能です。
首都圏の企業が地方の担い手育成の機会を提供することで、伝統工芸の技術やノウハウを地方の若者に伝えられ、次世代の担い手育成の促進が期待できます。
5.2.3 IT化の遅れ
地方自治体や地域の企業・行政機関などがITを有効活用できていない点なども、地方が抱える課題の1つです。
首都圏はIT産業やデジタル技術の中心地でもあり、多くの企業が最新のITツールやソリューションを開発しています。このノウハウを活かすことで、地方自治体は行政や産業界におけるIT化の取り組みを推進できるでしょう。
例えば、首都圏のIT企業が地方の行政や企業に対し、IT導入のコンサルティングやトレーニングを提供することで、地方のIT化の遅れの解消につながるでしょう。
5.3 地域人材を活用したアプローチ
地域人材を活用したアプローチは、地域の発展に欠かせない手法です。
地域住民の中には、魅力的な仕事があれば地元に残りたいと考えるポテンシャルの高い方も少なくありません。
そのためにも、地域の人材のスキルや特徴に合わせた誘致企業の選定をおこない、地域発展の促進につなげましょう。
また、地域出身者の人脈を活用し、首都圏に本拠地を持つ企業とのパイプを構築しましょう。
地域出身者が首都圏の企業とつながりを持ち、地元の魅力を伝えることで企業誘致がスムーズに進む可能性があります。
事前に企業誘致の課題を理解しておけば、実際に企業誘致をおこなった自治体がどのような課題に直面しているのかを把握でき、効果的な対策を立案できます。
6.1 インフラなどの環境が整っていない
地方では、交通網や電車・情報インフラなどの環境が整っていない点などが大きな課題として挙げられます。
首都圏や大都市の企業を誘致するのであれば、インフラ環境の整備は必須です。大容量回線など情報インフラの整備により、サテライトオフィスの誘致に成功した事例もあります。
地理的条件としては不利な立地であっても、何を補えば魅力が増すかを考えれば、成功に近づけるでしょう。
6.2 進出企業の戦略と地域の戦略の方向性が合致していない
進出企業と地方自治体の戦略の方向性が合致していないと、経済的な効果や成果を進出企業が生み出せず、投資回収が困難になる可能性があります。
例えば、地方の産業構造や特性に合わない業種の企業進出が進んだ場合、地域経済に対する負の影響を及ぼすリスクが考えられます。また、生産拠点を誘致したにもかかわらず、事業の悪化によって撤退してしまうリスクを完全になくすのは困難です。
最悪の結果を避けるためも、企業誘致においては、進出企業と地方自治体の方向性の合致が重要です。
6.3 自治体が企業ニーズを把握しきれていない
企業誘致をおこなうにあたって、地方自治体は企業への理解を深め、企業がどのような環境を望むかを十分に把握しておく必要があります。
事前に企業が望む環境を理解できていれば、企業が進出後に適切に連携ができ、継続的な成長をサポートするフォロー体制を構築できます。これにより、企業撤退のリスクも軽減できるでしょう。
自治体が企業誘致に取り組む際には、企業誘致から定着までのワンストップサービスの提供が重要です。
ここでは、ワンストップサービスとは何かや、ワンストップサービスのメリットをご紹介します。
7.1 企業誘致におけるワンストップサービスとは
ワンストップサービスとは、自治体の各分野の専門知識をもったメンバーが地方進出検討ニーズの発掘から、自治体とのマッチングまでをおこなうサービスです。
進出企業の立地選定や工場等建設にかかる行政手続き・創業後のフォロー・地域ブランディング・立地後の定着などを行政がワンストップで伴走する取り組みを指します。
7.2 自治体がワンストップサービスを実施するメリット
自治体がワンストップサービスを実施する主なメリットは、以下のとおりです。
7.2.1 進出企業の立地手続きの簡素化の実現
ワンストップサービスによる手続きの簡素化は、企業誘致を成功に導く重要な要素の1つです。
自治体が立地に関わる各種手続きを企業に代わっておこなうことにより、企業は手間や時間を節約できます。
立地に関わる手間や時間を削減できれば、企業はより迅速に進出準備を進められ、地域における早期のビジネス展開が期待できます。
7.2.2 企業誘致の初期段階で担当者が決まる
ワンストップサービスを実施している場合、企業誘致の初期段階で自治体の担当者が決まるケースがほとんどです。
進出企業が「誰に相談したらよいかわからない」という状況に陥るのを防ぎ、問題や課題の迅速な解決につながります。
また、担当者の情報提供により、企業側は進出先地域におけるビジネス環境や規制を正しく把握できます。
これによって、進出企業の地元企業やステークホルダーとの連携もスムーズに進むでしょう。
進出企業と自治体とのコミュニケーションが円滑化すれば、お互いの信頼関係を構築でき、より効果的な企業誘致を実現できます。
7.2.3 創業後も各分野の専門知識をもったメンバーによるフォローを受けられる
ワンストップサービスを提供している自治体では、進出企業は創業後も多岐にわたる分野の専門知識を持ったメンバーからのフォローを受けられます。
地域のビジネスネットワークや産業クラスターへの参加をアシストしてもらうことで、地元企業やステークホルダーと交流できる場の獲得も期待できるでしょう。
地域のビジネスコミュニティとのつながりが強化されれば、新たな商機の発見・パートナーシップの構築や、企業の持続的な成長と地域経済の発展につながります。
7.2.4 助成金や補助金の情報提供を受けられる
ワンストップサービスを提供する自治体では、助成金や補助金の情報提供も支援策として含まれている場合が多いのが特徴です。
進出企業が新しい地域でビジネスを進める際には、地方独自の助成金や補助金の制度や申請条件についての情報収集が必要不可欠です。
このような情報を自治体が積極的に提供することで、進出企業は自社にとって必要な助成金や補助金をすぐに把握できます。
また、助成金や補助金の利用時もスムーズに申請手続きを進められるため、地方での事業展開がしやすくなるでしょう。
企業誘致の成功事例を知っておけば、類似の手法を自分の地域にも適用できるため、より効果的な企業誘致を実現できる可能性が高まります。
ここでは、自治体における企業誘致の成功事例を2つご紹介します。
8.1 三重県亀山市での成功事例
三重県亀山市では産業クラスターを形成するための企業誘致が進められ、2002年に液晶関連大手の「シャープ」の誘致に成功しました。
新設されたシャープ亀山工場は、三重県と亀山市が交付した補助金により建てられました。
この企業誘致により、県内にはディスプレイ製造関連企業が約80社操業し、市内にも次々と関連企業が誕生しました。
これをきっかけに、「亀山ブランド」という名前が、日本のみならず世界にまで知られるようになったのは有名な話です。
8.2 岩手県北上市での成功事例
岩手県北上市には246社の企業があり、うち188社が誘致企業です。
北上市は昭和初期から工業振興に取り組み、特に企業誘致に注力し、市長自ら率先して企業訪問をおこなうなど積極的な活動を続けてきました。
企業誘致強化プロジェクトにより、優遇制度や環境整備、情報発信の強化、国・県との連携を推進しています。
また、各種手続きや認可事業に対してワンストップサービスの提供もおこなっています。商工部には6人の専任スタッフが配置され、スタッフの任務は企業誘致活動や立地企業の手厚いフォローです。
新たな企業進出には設備投資額の10%を補助し、創業後3年間は固定資産税相当額を補助する制度も設けています。
「まちあげ」とは、企業誘致のほか、移住者、国内外からの観光誘致など、さまざまな自治体の課題解決に特化した広告配信プラットフォームです。
自治体のニーズや課題に合わせ、性別や年齢・居住地など細かく設定したうえでのターゲティング広告配信ができます。
Web広告やSNS広告だけでなく、TVerなどインストリーム広告の配信もでき、詳細なターゲティングも可能です。
広告配信後は、数値を細かく測定・分析し、効果を分析レポートとして可視化された状態で確認できるため、そのあとの改善策や戦略策定に活かせます。
自治体が企業誘致に取り組む際は、なぜ企業誘致をおこなうのか、何をアピールポイントとするのかなど、事前に戦略を練ることが成功の秘訣です。
企業誘致を担当する自治体の方々は、今回ご紹介した地域特有の資源や地域の課題を活かしたアプローチを参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。
また、自治体のWebプロモーションの際は、自治体の企業誘致を支援するプラットフォーム「まちあげ」の活用もおすすめです。ぜひ参考にしてください。