自治体による旅行支援|北陸応援割など2024年最新の支援策を解説
まちあげパン太
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自治体が実施する旅行支援とは、対象地域に訪れる観光客が移動手段や宿泊などで割引・特典などを受けられる観光需要喚起策です。コロナ禍で観光客が減少して大きな打撃を受けた全国の観光関連産業は、政府主導で実施された「全国旅行支援」などにより徐々に回復傾向にあります。
本記事では、自治体が旅行支援を実施するメリット・課題や、「北陸応援割」を始めとする2024年に自治体が実施する旅行支援策について解説します。
記事の後半では、旅行に興味関心がある層にリーチできる自治体向け広告配信サービス「まちあげ」をご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次を表示
- 自治体による旅行支援とは
- 自治体による旅行支援のメリット
2.1 観光客誘致の拡大
2.2 観光客の消費増加
2.3 リピーターの獲得 - 自治体による旅行支援の課題
3.1 発売直後に売り切れてしまう
3.2 オーバーツーリズムが発生する
3.3 地域や宿泊施設の規模などにより格差が生じかねない - 【2024年】北陸4県による旅行支援策「北陸応援割」とは
4.1 「北陸応援割」の背景・目的
4.2 「北陸応援割」実施内容
4.3 「北陸応援割」実施期間 - 【2024年】自治体の旅行支援策5選
5.1 旅行支援策①「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」
5.2 旅行支援策②「しまぽ通貨」
5.3 旅行支援策③「みやざき春旅クーポンキャンペーン」
5.4 旅行支援策④「おき得乗船券」
5.5 旅行支援策⑤「大館能代空港泊まってお得キャンペーン」 - 旅行に興味関心がある層にリーチできる自治体向け広告配信サービス「まちあげ」
6.1 旅行に興味関心がある層のターゲティング
6.2 ターゲットへの効果的な広告配信
6.3 分析レポートによる広告効果の可視化 - まとめ
自治体による旅行支援とは、対象地域へ旅行に訪れた際に割引や特典などが受けられる観光需要喚起策です。
2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな打撃を受けた観光関連産業の再興を目的として、政府は「Go To トラベル」を実施。その後、2022年には政府の財政支援を受けて各都道府県が「全国旅行支援」を実施しています。
観光庁の旅行・観光消費動向調査およびJNTOの日本の観光統計データによると、2023年の旅行者数は以下のとおりです。
旅行者数 |
2019年比 |
|
日本人 |
4億9,733万人 |
84.7% |
訪日外国人 |
2,506万人 |
78.6% |
コロナ前の水準に完全には戻っておらず、各自治体は観光客のさらなる誘致に向けて旅行支援をおこなっています。
自治体が旅行支援を実施するにあたり、費用負担や人的リソースが必要になります。しかしながら、それ以上のメリットが得られる可能性がある取り組みです。
ここでは、自治体における旅行支援のメリットについて解説します。
2.1 観光客誘致の拡大
自治体の旅行支援では、観光客にとって魅力的な割引や特典を提供しています。旅行支援の利用者はお得に旅行が楽しめるため、旅行に興味関心がある層が「その地域を訪れてみたい」と来訪意欲を高める効果が期待できます。
その結果、観光地としての認知度や魅力度が向上し、地域を訪れる観光客の増加につながる点がメリットです。なお、観光客の増加を図るには旅行支援の実施に加えて、旅行に興味関心がある層への広告配信などのPRが不可欠です。
2.2 観光客の消費増加
旅行支援で提供する割引や特典は、利用者の観光にかかる費用を安く抑える効果があります。その分のお金で、宿泊施設や宿泊プランのグレードアップや旅行中の飲食などに利用できるため、地域での観光客の消費拡大が見込めるでしょう。
各地でおこなわれている旅行支援には、地域での観光・体験などが割引条件となっているケースや、地域限定で利用できるチケットを特典としている自治体もあります。地域の消費拡大につながる旅行支援を検討しましょう。
2.3 リピーターの獲得
旅行支援を活用して、多くの観光客が地域の観光・食・宿泊などを体験します。その結果、旅行体験に満足した観光客は、その地域を再訪するリピーターとなる可能性が高まります。
旅行支援の有無にかかわらず、地域を定期的に訪問するリピーターは観光振興の強い味方となりうるでしょう。そのためには、旅行支援で地域を訪れる観光客の満足度向上が不可欠です。旅行支援の実施にあたっては、地元企業や地域住民と協力して観光地としての魅力度を高める取り組みを実施しましょう。
自治体による旅行支援には様々なメリットがある反面、旅行支援の実施によって発生しうる課題も理解しておかなければなりません。
ここでは、自治体による旅行支援の課題について解説します。
3.1 発売直後に売り切れてしまう
旅行支援の課題として、発売直後に予約が殺到して売り切れてしまうケースがある点が挙げられます。
例えば、2022年から全国で実施された「全国旅行支援」では、人気の観光地や宿泊施設を中心に開始直後に売り切れる事例が続出しました。また、その後に追加実施した際も、発売当日に売り切れとなる地域が散見されました。
発売直後に売り切れる地域は、観光需要が高いことを示しています。その一方、旅行支援を活用できないために旅行先を変更したり旅行自体を取りやめたりした方は、地域にネガティブなイメージを持ちかねません。
3.2 オーバーツーリズムが発生する
オーバーツーリズムとは、キャパシティを超える観光客が観光地に集中して地域住民や環境に以下のような悪影響を与える現象を指します。
- ・交通渋滞
- ・トイレなどのインフラ不足
- ・ゴミの散乱などの環境破壊
地域活性化のために実施した旅行支援が逆にマイナスの影響を与えてしまうと、自治体の取り組みを不満に感じる住民が増加しかねません。また、観光客にとっても満足度の低い観光体験となってしまうため、再訪するリピーターの獲得が困難になる恐れがあります。
3.3 地域や宿泊施設の規模などにより格差が生じかねない
これまで旅行支援が実施された際に、お得感が強い高級宿への予約が集中する一方、手頃な価格の宿泊施設に観光客が集まらないケースが見受けられました。同じ地域内で宿泊施設によって格差が生じてしまうと、地域全体の観光振興につながらない恐れがあります。
また、割引や特典が適用される地域に観光客の人気が集中すると、隣接する地域との格差が生じかねません。旅行支援の期間終了後の観光客減少を防ぐためにも、旅行支援による観光客増加を一過性のものにしない取り組みが必要です。
2024年に実施されている大規模な旅行支援策として「北陸応援割」があります。本章では、北陸4県で実施されている「北陸応援割」について解説します。
4.1 「北陸応援割」の背景・目的
「北陸応援割」は、能登半島地震の影響を受けた北陸4県(福井県・石川県・富山県・新潟県)の観光業を支援するために導入された制度です。
地震発生以降、北陸4県で災害の影響が比較的小さかった地域においても、不安を感じた観光客からのキャンセルが続出しました。「北陸応援割」には、風評被害や旅行自粛を払拭するために、国内外の観光客を対象に旅行料金・宿泊料金を割引して観光需要を喚起する狙いがあります。
2024年3月26日から開始された「北陸応援割」は、充実した支援内容と「旅で北陸を元気にしよう!」との被災地支援の気運により、大きな反響を呼んでいます。
4.2 「北陸応援割」実施内容
「北陸応援割」とは、北陸4県でそれぞれ実施している旅行支援策の総称であり、実施内容は各県共通です。各県では、以下の名称で旅行支援を展開しています。
地域 |
キャンペーン名称 |
福井県 |
ふくいdeお得キャンペーン |
富山県 |
とやま応援キャンペーン |
石川県 |
いしかわ応援旅行割キャンペーン |
新潟県 |
にいがた応援旅割キャンペーン |
支援内容は、以下の表のように旅行形態によって4つのパターンに分けられています。(※1)。
旅行内容 |
最大割引率 |
割引上限額 |
宿泊サービス単体商品 |
50% |
2万円 |
宿泊をともなう交通付き旅行商品(1泊) |
50% |
2万円 |
宿泊をともなう交通付き旅行商品(2泊以上) |
50% |
3万円 |
周遊型旅行商品(宿泊地が2県以上の旅行商品) |
50% |
3.5万円 |
最大50%の割引率は、観光客にとって魅力的といえるでしょう。
※1)北陸応援割 北陸応援割ポータルサイト
4.3 「北陸応援割」実施期間
「北陸応援割」の実施期間は、以下のとおりです。
販売期間 |
2024年3月8日~なくなり次第終了 |
利用期間 |
2024年3月16日~2024年4月26日 |
「北陸応援割」は4月26日で終了しますが、石川県はGW明けの5月7日から第2弾を実施します。
販売期間 |
2024年4月19日~なくなり次第終了 |
利用期間 |
2024年5月7日~2024年7月31日 |
観光スポットや特産品が豊富な北陸地方は、北陸新幹線の福井・敦賀延伸によって関東・関西からのアクセスも向上しており、人気を集めています。
地域 |
代表的な観光スポット |
代表的な特産品 |
福井県 |
恐竜博物館・東尋坊 |
越前ガニ・越前そば |
富山県 |
黒部ダム・高岡大仏 |
ホタルイカ・白エビ |
石川県 |
兼六園・加賀温泉 |
ノドグロ・能登牛 |
新潟県 |
越後湯沢温泉・佐渡金山 |
日本酒・へぎそば |
「北陸応援割」を契機に北陸地域の早期観光復興を図っています。
全国で実施されていた「全国旅行支援」は2024年1月31日に終了しましたが、一部地域では独自の旅行支援策が実施されています。
本章では、2024年4月以降に実施されている自治体の旅行支援を5つご紹介します。
5.1 旅行支援策①「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」
「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」とは、福岡県と大分県が共同で開催している旅行支援策です。「至福の旅!大吉の旅!福岡・大分」をキャッチコピーに、歴史・自然・食・アートなど様々な魅力を満喫できる鮮度ある旅を提案しています。
具体的なキャンペーン内容は以下のとおりです(※2)。
実施期間 |
2024年4月1日~2024年6月30日 |
開催エリア |
福岡県・大分県 |
主な実施内容 |
・期間限定のバスツアー ・観光施設や駅でのデジタルスタンプラリー ・JR券と宿泊がセットになった旅行商品の販売 |
お得な旅行商品やJRと連携した特別列車の運行など、魅力的なコンテンツが多数準備されています。キャンペーン特設Webサイトや公式ガイドブックなどによるプロモーションも充実しています。
※2)福岡県 「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」ポータルサイト
5.2 旅行支援策②「しまぽ通貨」
「しまぽ通貨」とは、東京都および公益財団法人東京観光財団が東京の島しょ地域への旅行者誘致の取り組みとして実施する旅行支援策です。東京都の11の島で利用できるスマートフォン観光パスポート「電子しまぽ」の会員限定サービスとして、以下の内容で提供されています(※3)。
特典内容 |
1万円分のプレミアム付き宿泊旅行商品券を7,000円で販売 ※最大購入可能数8セット |
利用条件 |
・事前に「電子しまぽ会員」への登録が必要 ・11の島と竹芝の加盟店で1000円単位で取引をおこなう ・3,000円分は宿泊施設(加盟店)でのみ利用可能 |
しまぽ通貨の加盟店は470店舗以上あり、レストラン・アクティビティ・お土産店など様々な用途で利用可能です。また、各島をめぐって記念品がゲットできるスタンプラリーも実施されています。
※3)公益財団法人東京観光財団 しまぽ通貨
5.3 旅行支援策③「みやざき春旅クーポンキャンペーン」
「みやざき春旅クーポンキャンペーン」とは、宮崎県が独自に実施する旅行支援策です。物価高騰などによる影響軽減と観光需要喚起を目的に、以下の内容で実施しています(※4)。
予約・販売期間 |
2024年3月28日~2024年6月30日 |
利用期間 |
2024年4月8日~2024年7月1日 |
特典内容 |
1人1泊あたり3,000円分の「みやざき春旅クーポン」を発行 |
利用条件 |
国内に居住する宮崎県内への旅行者が対象商品を予約 |
「みやざき春旅クーポン」は、チェックイン時に宿泊施設で付与される飲食店や土産品店などで幅広く利用できる電子クーポンです。観光客の消費額拡大による地域活性化を図る取り組みです。
※4)宮崎県 宮崎県独自の観光需要喚起策 みやざき春旅クーポンキャンペーンを実施!
5.4 旅行支援策④「おき得乗船券」
「おき得乗船券」とは、島根県の隠岐諸島で実施されているフェリーの運賃が割引になる旅行支援策です。具体的な内容は、以下のとおりです(※5)。
利用期間 |
2024年4月1日~2024年5月31日 ※6月1日以降は電子版で販売 |
特典内容 |
・復路フェリーの2等運賃が無料 ・条件クリア+アンケート回答で隠岐の特産品を抽選でプレゼント |
利用条件 |
・出発日を除いた3日前までに公式サイトから予約 ・対象の宿泊施設(1泊以上)+観光体験(1つ以上)の利用証明のスタンプを提示して復路乗船券と交換 |
隠岐諸島は、人気NO.1の景勝地であるローソク島を見る遊覧船や体験ダイビング・釣りなど観光体験が充実しています。
※5)島根県観光連盟 お得に隠岐を観光しよう!WEB限定「おき得乗船券」について
5.5 旅行支援策⑤「大館能代空港泊まってお得キャンペーン」
「大館能代空港泊まってお得キャンペーン」とは、秋田県で実施されている旅行支援策です。大館能代空港を利用して秋田県を訪れる観光客増加を目的に、以下の内容でおこなわれています(※6)。
実施期間 |
2024年3月27日~2025年2月14日 |
特典内容 |
宿泊代金を最大1万円割引 |
利用条件 |
・秋田県外在住 ・大館能代空港羽田線の対象便へ搭乗したのち、搭乗日に秋田県内の対象宿泊施設に宿泊 ・申請書・身分証・搭乗証明を宿泊施設へ提出 |
150店以上の宿泊施設が対象となっており、ビジネス目的での来訪でも利用可能です。
※6)秋田県 【県外在住の方対象】大館能代空港 泊まってお得!キャンペーン実施中!
「まちあげ」とは、自治体の課題解決に特化したマーケティングプロダクトです。観光振興に向けた旅行支援に取り組む自治体にとって有用なサービスです。
ここでは、マイクロアドが提供する「まちあげ」の強みを3つご紹介します。
6.1 旅行に興味関心がある層のターゲティング
「まちあげ」では、旅行やお出かけに関するメディアを閲覧している層を対象に、以下のようなデータを活用してターゲティングをおこなえます。
- ・属性(性別・年齢・居住エリア)
- ・探している旅行の目的(観光・自然・温泉など)
- ・位置情報データを活用した訪問履歴(該当エリアの居住者を除く)
各自治体の観光振興ニーズや課題に合わせた固有のターゲティングにより、効率的な旅行支援のプロモーションが実現できます。限られたコストで最大の広告効果が見込めるでしょう。
6.2 ターゲットへの効果的な広告配信
「まちあげ」では、月間表示回数2,000億回を超える配信先を活用して低クリック単価でターゲットへの広告配信が可能です。
加えて、以下のSNS投稿内容をSNS以外のブログやニュースサイトに掲載する配信手法も利用できます。
- ・X
- ・Tiktok
そのほか、TVerでの広告動画配信など多様な配信方法が特徴です。
6.3 分析レポートによる広告効果の可視化
「まちあげ」では、広告配信後に以下のような分析レポートを提供しています。
- ・来訪者分析(来訪者の多いエリアや来訪者の居住・勤務エリアの割合等)
- ・来訪者の推定消費額の算出広告配信による観光地の興味関心や来訪意欲の変化などのアンケート調査
広告に興味を示した割合・来訪数・来訪時の行動結果などがわかるため、広告配信による費用対効果が可視化できます。これらのレポートを踏まえて、旅行支援の内容やプロモーション施策の改善につなげられる点がメリットです。
本記事では、自治体が旅行支援を実施するメリット・課題について解説。併せて「北陸応援割」を始めとした2024年に自治体が実施する旅行支援策をご紹介しました。
コロナ禍以降、政府による「全国旅行支援」の取り組みなどにより観光関連産業は徐々に回復傾向にあります。しかしながら、コロナ前の水準には完全に戻っておらず、さらなる観光客誘致のために魅力的な旅行支援とターゲット層への効果的なプロモーションが不可欠です。
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