自治体向け: インバウンドプロモーション成功の鍵は?国・地域別のニーズを解説

2024年4月の訪日外国人観光客数は2ヶ月連続で300万人を突破し、改めてコロナ後のインバウンド回復を印象づける結果となりました(※1)。この機運に乗って、インバウンドプロモーションで誘客を図りたいと考えている自治体のご担当者は多いのではないでしょうか。


本記事では、2024年のインバウンド最新動向のほか、訪日目的・需要が高まる時期・人気スポット・商品などのニーズついて詳説。加えて、訪日時期や嗜好性・トレンド・プロモーション手法など国・地域ごとの特徴について解説します。


記事の後半では、インバウンドプロモーションを効率的かつ効果的におこなえる広告配信サービス「インバウンドでまちあげ」についてご紹介しています。ぜひ参考にしてください。  

※1)JNTO 訪日外客数(2024 年 4 月推計値)

目次を表示

  1.  インバウンド市場の動向

  2.  インバウンドプロモーションで把握しておくべきポイント
     2.1 訪日外国人観光客が日本を訪れる目的
     2.2 外国人観光客の訪日需要が高まる時期
     2.3 訪日外国人観光客に人気のスポット・商品

  3.  主な国・地域ごとのインバウンドの特徴・ニーズ・最適なプロモーション手法
     3.1 中国
     3.2 台湾
     3.3 香港
     3.4 韓国
     3.5 タイ
     3.6 アメリカ

  4.  インバウンドプロモーションに成功した自治体の事例
     4.1 オンラインプロモーションを有効活用した岐阜県高山市の事例
     4.2 台湾のインフルエンサーを起用した中国3県のプロモーション事例
     4.3 中国人観光客向けにライブコマースを活用した山梨県の事例

  5.  インバウンドプロモーションに最適な「インバウンドでまちあげ」

  6.  まとめ


1.インバウンド市場の動向

 

訪日外客数

 

2024年4月の訪日外客数は、3,042,900人で2ヶ月連続で300万人を突破し、前年同月比で56.1%増。2019年同月比で、4.0%増という数字を記録しました。4月までの累計訪日外客数は1,000万人を超え、インバウンド需要は堅調に回復をみせています。

 

アジアでは韓国・インドネシア、欧米地域ではアメリカの訪日外客数の増加が押し上げ要因となり、23市場のうち14市場で4月における過去最高を記録。また、フランス・イタリア・中東地域では単月の訪日外客数で過去最高となりました(※2)。

 

※2)JNTO 訪日外客数(2024 年 4 月推計値)

 

 

2.インバウンドプロモーションで把握しておくべきポイント

 

コロナ禍後のインバウンド回復の波に乗るべく、さらなる外国人観光客の誘客に向けたプロモーション展開を考えている自治体は多いでしょう。本章では、インバウンドプロモーションで把握しておくべきポイントを解説します。


2.1 訪日外国人観光客が日本を訪れる目的



観光庁による2024年1〜3月期の訪日外国人消費動向調査によると、「観光・レジャー」を主な訪日目的として挙げた方が全体の84.3%を占めています(※3)。


また、DBJ・JTBFがおこなった海外旅行に関する意識調査では、外国人旅行者の訪日目的トップ3は「自然や風景の見物」「桜の観賞」「伝統的日本料理」です。そのほか、上位に挙げられていたのは「温泉への入浴」「雪景色観賞」「日本庭園の見物」「歴史的建造物や史跡」などです。これらの結果からも、日本ならではの文化体験や自然を求めて訪日する外国人観光客の多さがうかがえます。


※3)観光庁 訪日外国人消費動向調査「2024年1~3月期」



2.2 外国人観光客の訪日需要が高まる時期



インバウンド全体で、一年を通して需要が高まる季節は「夏季のバカンスシーズン」「春季の桜のシーズン・イースター」「秋季の紅葉シーズン」です。ただし、国・地域ごとの需要の違いや長期休暇のタイミングの違いなどによって訪日シーズンのピークは異なります。国・地域別の傾向については後述します。


2.3 訪日外国人観光客に人気のスポット・商品



Tripadvisor(トリップアドバイザー)による「2024年 日本で絶対外さないおすすめ観光スポットトップ10」のランキング上位は、以下のとおりです。


1位:伏見稲荷大社

2位:金閣寺

3位:新宿御苑

4位:清水寺

5位:道頓堀歓楽街


ほかにも、明治神宮・浅草寺・広島平和記念資料館・姫路城などが人気スポットとしてランクインしています。


2024年1〜3月期の訪日外国人消費動向調査を全体でみるとによると、買い物消費で購入率が高い品目ベスト3は、以下のとおりです(※4)。


1位:菓子類(75.3%)

2位:衣類(41.9%)

3位:その他食料品・飲料・たばこ(41.4%)


日本のお菓子は、「個別包装されていて高品質なのに安い」「デザイン・キャラクターや味の独自性」といった点が評価されています。その他食料品では、日本酒などが特に人気です。ほかにも、日本独特の美を感じ取れる「和陶器」「日本画のポストカード」「茶道セット」「日本刀のミニチュア」などが、定番のお土産として人気があります。


※4)観光庁 訪日外国人消費動向調査「2024年1~3月期」

 

 

3.主な国・地域ごとのインバウンドの特徴・ニーズ・最適なプロモーション手法


インバウンドプロモーションを成功に導くうえで重要なのは、ターゲットの絞り込みとニーズを捉えたアプローチです。ここでは、特に訪日客数が多い6つの国・地域の「訪日需要が高まる季節」「嗜好性・トレンド」「有効なプロモーション方法」について解説します。



3.1 中国



中国

<需要が高まる季節>

中国人観光客の訪日需要のピークは、7・8月の夏休みシーズンです。次いで1・2月頃の春節を含む冬休みシーズンと、4月頃の桜需要がピークになる時期、10月の大型連休である国慶節に訪日客が増加します。


<嗜好性・トレンド>

コロナ前に見られた「爆買い」は下火になり、日本の伝統文化体験・アニメツーリズム・アドベンチャー体験などの体験価値を重視した消費傾向にシフトしつつあります。爆買いのピークだった2015年は買い物消費が旅行支出の6割近くを占めていましたが、現在は4割強程度に落ち着き、宿泊費や飲食費が増加傾向です(※5)。


また、コロナ禍で長らく団体旅行が禁止されていたことから「FIT(個人旅行)」化が顕著で、2024年1-3月期の数値では個別手配が90.8%を占めています(※6)。


<プロモーション方法>

中国では、政府のネット規制によりXやInstagramなどの世界中に普及しているSNSを利用できません。それゆえ、中国独自のSNS「Weibo」や「RED」などを活用したプロモーションが有効です。検索エンジンも、Googleなどは利用できず「百度(バイドゥ)」がほぼ一強のため、それを踏まえたマーケティングが不可欠です。


旅行予約サイトは、携程(シートリップ)のほかチューナー・フリギー・トンチェン・マーフォンウォーなどの利用が多く、対策が必要です。


※5)観光庁 【訪日外国人消費動向調査】平成27年(2015年)年間値(確報)

​​※6)観光庁 【訪日外国人消費動向調査】2024年1-3月期の調査結果(1次速報)の概要 

 

3.2 台湾



台湾

<需要が高まる季節>

訪日需要のピークは中国と同じく7・8月の夏休みシーズンです。加えて、桜需要が高まる4月と紅葉需要が高まる10月頃も訪日客が多い傾向にあります。


<嗜好性・トレンド>

訪日台湾人は親日度が高く、リピーターが多いのが特徴です。アウンコンサルティング株式会社が実施した2023年の日本への好感度調査では、日本を「大好き」と回答した割合が62.1%、「好き」が35.9%という結果が出ています(※7)。


歴史的・文化的接点も多いことから、日本のアニメ・ドラマ・音楽などのポップカルチャーに対する関心の強さが特徴です。


<プロモーション方法>

中国と異なり、台湾ではGoogleや各種SNSの利用制限はありません。SNSはYouTubeやInstagram・Facebookなどの利用が多く、検索エンジンはGoogleの利用が主流で日本国内のユーザーと傾向が似通っています。それゆえ、比較的デジタルマーケティングを実施しやすい地域といえるでしょう。


また、ライオントラベル・KKday・Asia Yo等の旅行予約サイトや、バックパッカーズ・ピークーバン旅遊・PTT等の口コミサイトなど、地域特有のメディアが多く対策が必要です。


※7)アウンコンサルティング株式会社 2023年【世界12カ国の親日度調査】日本への好感度、訪日意欲について

 

3.3 香港



香港

<需要が高まる季節>

訪日需要のピークは7・8月の夏休みシーズンと、12月のクリスマスシーズンです。次いで、旧正月とイースターが続く2月・3月頃の訪日客が多い傾向にあります。


<嗜好性・トレンド>

香港の特徴は、訪日リピーターの多さです。2024年1〜3月期の訪日外国人消費動向調査によると、92.6%がリピーターで、訪日回数が10回以上の方が35%以上と高い割合を示しています。また、中国と同じく個別手配の旅行が89.6%と多く、団体ツアーの利用は少なめです(※8)。


訪日目的としては、買い物・日本食・日本の伝統文化体験や芸術鑑賞のほか、アニメ・ゲームなどのサブカルチャーも人気コンテンツとなっています。


<プロモーション方法>

YouTubeやFacebook、InstagramなどのSNSが情報収集に多く使われています。検索エンジンはGoogle、旅行予約・口コミサイトはGo!Japan(ゴー・ジャパン)・ユー・マガジン・Like Japan・ゴー・トリップなどが主流です。


なかでも、フォロワーが多いGo!Japanは香港のインバウンドマーケティングで押さえておきたいプラットフォームです。


※8)観光庁 訪日外国人消費動向調査 集 計 表 2024年1-3月期 【1次速報】



3.4 韓国



韓国

<需要が高まる季節>

7月・8月の夏休みシーズンと、1月・2月の冬休みシーズンが訪日需要のピークです。韓国では、12月下旬から2月初旬が冬休み、2月中旬から2月下旬が春休みとなっています。冬休みと春休みのシーズンが連続している期間は、夏季よりも訪日客数が伸びる傾向にあります。


<嗜好性・トレンド>

滞在日数は3日間以内が18.5%で4〜6日間が72.5%と、他国に比べて滞在期間が短いのが特徴です(※9)。インバウンドの中心層は、日本のアニメ・ファッションのほか、技術・伝統文化に深い関心がある20代・30代の若い旅行客となっています。


コト消費の観点から魅力的なコンテンツ発信をおこない、長期滞在を促していく必要があるといえるでしょう。


<プロモーション方法>

韓国で利用が多いSNSは、YouTube・Instagram・Facebook・Xです。そのほかに、検索エンジンとしても高いシェアを誇る「NAVER」、メッセンジャーアプリ「KakaoTalk(カカオトーク)」などのプラットフォームがあり、対策が必要です。利用者が多い旅行予約・口コミサイトとしては、NAVER Blog・Daum・ネイルドンなどが挙げられます。


※9)観光庁 訪日外国人消費動向調査 集 計 表 2024年1-3月期 【1次速報】

 

3.5 タイ



タイ

<需要が高まる季節>

夏休みと、タイの正月にあたるソンクラーンのある3月〜5月頃が訪日需要のピークです。雨季と乾季の境目である10月の秋休みも需要が高まります。また、自国では見慣れない雪景色を見られる冬シーズンの需要が高いため、季節感を押し出したコンテンツのプロモーションがカギとなるでしょう。


<嗜好性・トレンド>

台湾と同様に親日度が高く、アウンコンサルティング株式会社の日本への好感度調査では、日本を「大好き」と回答した割合が71.3%、「好き」が27.7%でした(※10)。訪日客数も2024年4月の推計値で142,500人と、東南アジアトップを記録しています(※11)。


新たなトレンドとして、「知られていない絶景」「地方でのライフスタイル体験」「日本ならではのアウトドアアクティビティ」を求めて訪日するケースが増加しています。


<プロモーション方法>

SNSマーケティングは、利用者が多いYouTube・Facebook・Instagram・Xを中心に対策しましょう。


旅行予約・口コミサイトは、パンティップ(Pantip)、クロクルアンジャパン(Krobkrueng Japan)、チルパイナイ(Chill Pai Nai)などが多く利用されています。なかでも、パンティップは多くのタイ人旅行者が情報収集に活用している知名度が高い掲示板サイトです。


※10)JNTO 訪日外客数(2024 年 4 月推計値)

※11)アウンコンサルティング株式会社 2023年【世界12カ国の親日度調査】日本への好感度、訪日意欲について

 

3.6 アメリカ



アメリカ

<需要が高まる季節>

アメリカのインバウンド需要は、6月〜7月頃の夏休みシーズンにピークを迎えます。3月〜4月にかけては、桜需要とイースター休暇があり2番目のピークです。加えて、10月に紅葉需要があり、夏需要からの盛り返しが見られます。


アメリカの訪日傾向はインバウンド全体の推移と似通っているため、比較的対策しやすいといえるでしょう。


<嗜好性・トレンド>

アメリカからの訪日客数は2024年4月の推計値で228,900人で、アジア圏以外の国では最多です(※12)。滞在期間が長く宿泊支出が増加する傾向にあるため、高付加価値・高単価サービスの提供・プロモーションがカギとなるでしょう。


訪日理由は、「文化体験と歴史」「ポップカルチャー」「自然の美しさ」「食文化」「安全性と清潔さ」などが挙げられます。


<プロモーション方法>

YouTube・Facebook・InstagramなどのSNSが重要なチャネルです。旅行予約・口コミサイトは、トリップアドバイザー・トラベルアンドレジャー・ナショナルジオグラフィック・エクスペディアなどが多く利用されています。特に、世界最大級の旅行サイトであるトリップアドバイザーは、インバウンド対策には欠かせないツールです。


※12)JNTO 訪日外客数(2024 年 4 月推計値)

 

 

4.インバウンドプロモーションに成功した自治体の事例

 

国・地域ごとの特性・訪日傾向に着目し、インバウンド誘客に力を入れている自治体は多くあります。上手くニーズをつかみ、インバウンドプロモーションに成功した自治体の事例をご紹介します。

 

 

4.1 オンラインプロモーションを有効活用した岐阜県高山市の事例



岐阜県高山市は、元々外国人観光客に人気の観光地でしたが、コロナ禍で大幅に観光客が減少しました。コロナ後は、インバウンド復活に向けたアクションとして、SNSによる情報発信と動画配信によるプロモーションの強化を図っています。


足掛かりとして、海外向け情報発信のプラットフォームとなる特設サイトを開設して積極的にプロモーションを敢行。在日アメリカ人が高山を巡るYouTube動画を公開するなどして、PRをおこないました。継続的なプロモーションによって動画の再生回数は順調に伸び、インバウンド需要の回復に成功しています。



4.2 台湾のインフルエンサーを起用した中国3県のプロモーション事例



中国地方の広島県・山口県・岡山県では、地理的にも近い距離にある台湾の観光客に向けた施策に取り組んでいます。


広島県では、台湾出身のインフルエンサーを広島の観光大使に任命し、地域の魅力をPRするインフルエンサーマーケティングを取り入れています。実際に県内で居住経験があるインフルエンサーの起用によって説得力が生まれ、台湾からの観光客を中心に誘客数を伸ばしています。


山口県長門市でも、同様に台湾出身のインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングを実施。市内の観光ルートを紹介する動画作成を依頼し、訪日客の誘客につなげています。


岡山県では、台湾インフルエンサーに加えてSNSで人気のYouTuberを起用し、観光地の多言語対応や魅力を発信してもらう施策を実施。現地メディアとの連携によってメディア露出も増加し、認知向上・誘客数増加につなげています。



4.3 中国人観光客向けにライブコマースを活用した山梨県の事例



山梨県では、訪日中国人観光客の需要喚起を図るため、中国最大手の旅行会社であるTrip.comグループと連携。ライブ配信でユーザーがリアルタイムに商品・サービスを購入できるライブコマースを活用した観光PRを実施しています。

Trip.com

 

ライブ配信では、地域の魅力を紹介するホスト役として有名な中国のインフルエンサーを起用。これが大きな反響を呼び、県内の多くの宿泊施設で予約・売上が増加するなど成果につながりました。中国人観光客の特性・トレンドを上手く捉えたインバウンドマーケティングの好事例といえるでしょう。

 


5.インバウンドプロモーションに最適な「インバウンドでまちあげ」

 

インバウンドでまちあげ

 

「インバウンドでまちあげ」は、訪日外国人観光客の誘客を支援する自治体に特化したインバウンドプロモーションサービスです。マイクロアドとマイクロアド台湾の連携によって、台湾を中心とする日本旅行検討層の誘客をサポートします。


具体的には、自治体のSNS公式アカウントの運用や台湾・香港女性向けメディア「Japaholic(ジャパホリック)」など、現地メディアでの日本観光の情報発信が可能です。


また、「Japaholic」の記事を見たユーザーの分析や、位置情報データを活用した県・市単位での来訪計測によって、効率的かつ効果的にプロモーションできるのも特徴です。加えて、各自治体における観光客の想定消費額を分析したレポート提供を受けられるため、費用対効果を可視化でき、今後のインバウンドプロモーションに活かせます。



6.まとめ

 

コロナの収束後、インバウンド需要は堅調に回復しています。この機会を逃さずにインバウンドプロモーションを強化し、誘客を図りたいと考えている自治体は多いでしょう。

 

本記事では、インバウンドの最新動向や訪日需要が高まる時期・旅行目的・人気スポット・商品などの市場ニーズについて解説しました。加えて、国・地域ごとの訪日時期や嗜好性・トレンド・効果的なプロモーション手法などについてもご紹介しました。

 

インバウンド施策はそれぞれの国・地域の特性をとらえたアプローチが重要です。「インバウンドでまちあげ」は、訪日外国人観光客に向けたプロモーションを最適化するうえで有効なツールとなります。ぜひ、この機会に導入をご検討ください。
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